第3話《不意の暗殺》
「ところで、アッキー!」
突然の呼びかけに、アッキーは目を真ん丸にしている。
明らかにリチャードは追い詰められているのに、至って呑気な口調や。
爽やかな笑顔に、何の邪気もないせいか考えが読みづらい。
不思議そうにリチャードを見つめるアッキーは、まるで猫みたいで可愛かった。
――そして、おかしかった。
「気付いてるかい?」
「なにを――?」
質問の意味が、解らなかったようや。
理解よりもさきに、身体が反応していたようやな。
【不意の暗殺】(A)
10%の確率で、任意の相手を倒す。
この効果は、他の効果に影響されることはない。
暗殺に成功した場合は、武具のスキルを自動的に発動できる。
もっとも恐い男は、ヴォーグや。
気付いた頃には、殺されてるんやからな。
アッキーが突然、リタイアしたせいで混乱が起きた。
カーズの反応が、遅れたのも敗因やろう。
流れるように、次の行動へと繋がる。
ヴォーグの暗殺コンボは、非常に厄介や。
どれだけ警戒していようとも、ヴォーグは巧みに気配を殺してまうねん。
まるで彼は、猟犬や。
忠実に殺す瞬間まで、ただひたすらに息をひそめるんやから。
――冥王のナイフ。
【冥府への誘い】(A)
敵全員の攻撃力と防御力を、1ターンだけ下げて、攻撃力の2倍のダメージ。
任意の味方一人を、強制的に行動させる。
攻撃が通らないと油断して防御バフをかけていなかったのも、大きな敗因の一つやろうな。