第2話《死神は見てるぞ!》
闘技場の舞台は、炎に包まれていた。
アッキーの生み出した炎の円陣が、リチャードを苦しめている。
【強制終了】(A)
発動されているスキルを、すべて終了させる。
確かにスキルさえ通れば、煉獄炎陣を消すことはできるやろう。
無効化ではなくて、終了させると明記されとるからな。
――だが。
そんなことは、アッキーだって解っている。
「無駄よ、リチャード。私がなにも、手を打たないとでも?」
【守護封殺】(A)
相手の発動するスキルを、打ち消す。
「やるね、アッキー」
爽やかな笑顔の裏に、リチャードは獣の本能を隠している。
どれだけアッキーが狡猾に罠を仕込もうと、リチャードは看破してしまうやろうな。
ここからの数ターンは、互いに消耗戦が続いた。
アッキーたちの攻撃を、リチャードたちが凌ぐだけの展開や。
いくら攻撃しても、アッキーたちには届かへん。
アッキーたちの攻撃は、無効化できへん。
カウンターを放っても、デバフ系スキルを撃っても、何をやっても、無駄に終わるだけやった。
リチャードに勝ちの目は、無いかのように思われた。
――が。
「死神は見てるぞ」
俺はリチャードの方が、遥かに恐かった。
静かに見据える瞳には、すべてを射抜くような光が宿っている。