第1話《酒盛りです!》
「僕が思うにだけどね。今回の参加者は、まだまだ発展途上にいる。ロキちゃんや、僕も含めてね?」
赤ら顔で上機嫌に、熱弁している。
昼間っから飲んでいるせいで、ドクターはすっかり出来上がっている。
「私も皆さんの試合を拝見させて貰って、色々と参考にさせて頂いてますからね~!」
「さっさん、もうすぐマスター戦やろ。俺がいくまで、負けらんといてな?」
煙草を灰皿に押しつけて、サチコを見やる。
「おいおい、僕は眼中にないのかい?」
「まさかぁ。めっちゃ、ライバル視してますがな!」
その言葉に、嘘はなかった。
今回のリーグ戦で一番、恐いのは間違いなくドクターや。
「それは、光栄だね。だけどね、ロキちゃん。僕たちには、まだまだ切り札がある。君との闘いのために、残しているんだよ!」
「ほう。それは私も、興味深いですね。お二人とも、間違いなくトップクラスの器ですからね~!」
そう言って、サチコはカクテルグラスを傾ける。
黙々と焼き鳥を平らげるミリアが、何かを言いたそうにしている。
「ニワトリの舞を、踊りたいと思います!」
唐突な申し出に、何故だかドクターが爆笑していた。
「酒の席は、にぎやかな方がいいね。勝負のことなんて忘れて、楽しもうではありませんか!」
ドクターの言葉に、ミリアが舞い上がる。
心なしかバルバロとミレーニアが、静かだったのがなぜだか気になった。
ハウゾウくんだけは、一心不乱にポークソテーにかぶりついていた。