第4話《ニワトリ剣士の女》
「アナタたち、初心者ね?」
頭に赤いトサカが付いた兜をかぶった女が、急に話しかけてきた。
頭のなかに、相手の情報が流れ込んでくる。
ミリア:レベル85 職業:ニワトリ剣士
ちなみに、俺のレベルはまだ22や。自分よりも、弱い相手を狙ってるんやろうか。
職業からして、弱そうな女やな。パーティにあぶれて、初心者パーティで粋がりたいタイプと見た。
「せやな。ログインしたばっかりや」
「仕方ないわね。わたしが、仲間になってあげるわ」
別に居ても居なくても、どちらでも構わない。
それに俺には、ハウゾウくんがいてる。ラフィーネの力量はまだ不明やが、ミリアよりは強いと思う。というか、ミリアが強いとはとうてい思われへんねん。高飛車っぽい感じが、どうにも弱そうな雰囲気を醸し出してるしな。
闇属性なら、仲間にしてやってもいいかな。
「アンタの属性は?」
「わたしは、火属性よ。ゴブリンは火に弱いから、連れていくと役に立つわよ?」
覇王竜刃破があるから、誰がどんなスキルを持っていても同じやった。
ブルドッグを彷彿させる顔には、自信の表情が張り付いている。クエスト報酬の取り分も減ってしまうし、ミリアは別にいらんような気がした。
「何や、火か。悪いが闇属性を、探してるねん」
「待ちなさいよ。初心者が、一人で行くのは危険だわ!」
適当にあしらって、去ろうとしたら更に食い下がってきた。
正直、面倒くさい。
そこにハウゾウくんが、割って入ってくる。
「拙者が、居るでござるよ!」
「犬が、喋った!」
驚きの声をあげるミリア。
ハスキーが喋っているのだから、当然やった。ゲームの世界とはいえ、ハウゾウくんの存在はかなり特殊なようやった。
「拙者、ハウゾウでござる。ハウちゃんと、呼んでくだされ!」
「ハウちゃん、よろしくね!」
「おい、まて。誰が、仲間にするなんて、言うたんや?」
「良いじゃないの、べつに。仲間にしてくれも、バチは当たらないんじゃない?」
適当にあしらって、去ろうとしたら更に食い下がってきた。
正直、面倒くさい。
というか、ブルドッグみたいな顔で上目遣いなんてしないで欲しい。目が腐ってしまいそうだ。
「なら一度、私を連れて行きなさい。どれだけ役に立つのか、教えてあげるわ!」
どうせ役には立たないのだが、ニワトリ剣士という職業だけは気になっている。
試すだけ試して、とっととオサラバしようか。