第6話《暗黒空間》
「まさか、そんなレアなスキルを持ってるなんてね。さすがに、油断したわ!」
ラミーが発動していたのは、防御系のスキルではなかった。
むしろ全力で、攻めに来ている。
その姿勢は、好感が持てた。
傷だらけのラミーを、紫色のもやが包んでいる。
妖しく不気味な光りを、その瞳に宿していとる。それは、覚悟をしとるもんの目やった。
【闇の誘引】(A)
この効果は、任意のタイミングで発動できる。
自らを犠牲にして、術者の攻撃力と防御力の3倍のステータス効果を2ターンの間、仲間に付与する。
「あとは頼んだわよ、リーダー!」
優しく笑いかけると、ラミーはリタイアした。
最後に残ったこの男は、これまでの闘いで、ずっと沈黙を守ってきた。
その力は未知数やった。
ウロボロス:レベル8000 職業:暗黒魔導士
――八尺瓊勾玉。
男の掌で、闇の粒子が広がっていく。
その粒子は次第に、周囲を闇色に染めていく。
【暗黒空間】(A)
闇の粒子が、術者の攻撃力と防御力を上昇させる。
1ターン目が2倍。2ターン目が4倍。3ターン目には8倍になるが、味方全員が死亡する。
なるほど。
沈黙の理由は、それか。
仲間を巻き添えにしてしまうのを嫌って、何もしなかったようやな。
さて。
ここからが、リチャードの真価が問われるやろうな。