第2話《まだまだ、攻めるみたいです!》
「だから、油断するなって、言ったじゃないっ!」
ラミーの怒声が、響きわたる。
ヒットの直前に、彼女のスキルが発動していた。
【闇の暗幕】(A)
バトル中に一度だけ、あらゆるダメージを無効化できる。
結構、羨ましいスキルやな。
いまのところは全員、ノーダメージやんけ。
いつの間にやら、ヴォーグがガリバーの背後にいるけどな。
職業的に、あの距離は必殺の間合いやろうな。まだ、誰も気付いてへんみたいやで。
「何ぃっ……?」
ヴォーグ:レベル6170 職業:アサシン
【不意の暗殺】(A)
10%の確率で、任意の相手を倒す。
この効果は、他の効果に影響されることはない。
暗殺に成功した場合は、武具のスキルを自動的に発動できる。
「むぅ……パパ上。あの者は、忍びでござるか?」
「まぁ、そんなとこやな」
「凄いでござるなぁッ!」
「信じたらアカンで、ハウちゃん。ロキは適当なことしか言わんから」
「パパ上。謀ったでござるかッ!」
怒声をあげるハウゾウくんを流しながら、試合の行方を見守っている。
ヴォーグのナイフで喉をかき斬られて、あっさりとガリバーはリタイアした。
だけど猛攻は、まだまだ続くみたいやな。なんて羨ましいチートスキルなんやろか。
――冥王のナイフ。
【冥府への誘い】(A)
敵全員の攻撃力と防御力を、1ターンだけ下げて、攻撃力の2倍のダメージ。
任意の味方一人を、強制的に行動させる。
とんでもない連撃やった。
敵一人を倒してからのデバフ付与、全体攻撃。
更には、仲間へのターン譲渡。
えげつないにも、程がある。
攻撃を繋ぐのは、やっぱりこの男やな。
「さて。そろそろ、行かせてもらうよ!」
リチャードの見据えるさきには、ラミーがいた。
その表情には、いつもの爽やかな笑顔ではなく――獰猛な獣が張り付いている。