第2話《大天使ミカエル》
「旧約聖書によると、ミカエルは剣と秤を扱っているらしい」
巨大なサンドワームと遭遇すると、ドクターは戦闘態勢に入った。
ドクターの武具は、弓やった。
「だからなのか、僕のスキルは剣と秤がモチーフになっているんだ」
――光塵の弓ミカエル。
【生命の天秤】(P)
対象者を、スケール状態にする。
この効果は術者が倒れない限り、決して解除不能である。
スケール状態は、攻撃を受けるたびに防御力が30%低下する。
スケール状態は、攻撃をするたびに攻撃力が30%低下する。
「凄いだろう。まだ3段階目の解放で、これだけの効果を持っている。使用するのに、1ターンを消費するけど、受けるとかなり厄介だよ!」
サンドワームの周囲を、光の帯が包んでいる。
スケール状態、というやつなんやろう。
非常に厄介なスキルだな。
「ロキちゃんのそれも、物凄く便利だよね?」
俺は覇王の鼓舞を、発動させていた。
いまのドクターの攻撃力は、計り知れないものになっているだろう。
「僕も攻撃系のスキルを、持っているよ」
弓を引く動作をすると、無数の剣が出現した。
ドクターを囲むその剣が、サンドワームをロックオンしている。
【ナイン・ソード・アロー】(A)
9つの剣を、任意の対象一体に放つ。
攻撃力の2倍の9連撃。
まさに、必殺の一撃や。
「SPスキルはお互いに、本番までの楽しみにとっておこうか?」
SPスキルの必要がない――とでも、言いたげな顔をしていた。
思った通り、ドクターはえげつなく強かった。
一瞬でサンドワームが弾け飛ぶのをみて、リーグ戦への期待が膨らんだ。
これがAランクリーグの水準なんやろう。
相手に取って、不足はない。