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第一話:転校生がやってきた

第一話:転校生がやってきた

 僕の名前は天道時時雨、神塚高校二年四組十七番。高一からの友達からは『雨男』とか呼ばれていたりする。まぁ、雨男の実力ともいえないがこれまでの高校生活で僕が関わってきた行事すべてに雨が降っている………といっても、入学式、文化祭、体育祭の三つ程度なのだが。

 話がずれてしまったが二年生になって一週間が経ったとある日、転校生がやってくるという噂が広まっていた。僕らの高校はクラスが持ち上がりのためクラスメートは一年の頃と変わらない。転校、退学とかがない限り人が減ったり増えたりすることがなく、さらに言うならいやな奴とずっとクラスが一緒ということなのだ。

 逆を言うならば、というか僕らのクラスには人気の女子が多い。勿論、中には彼氏がいたりするのだが意外とフリーな人も多く、男子の中にはクラス委員長である藤堂美羽を狙うものも少なくない。

 まぁ、とりあえず藤堂さんのことは置いておくとして僕は先生の登場を待った。

 いつものように定刻ジャストで教室へと入ってきた先生は机を軽く叩いたのだった。担任の夏川春乃先生は詳細は不明だがまだ、二十代らしい。年上好きの連中が狙っていたりもするという噂をそういえば一年の頃紀伊滝がする。

「はい、じゃあ今日は転校生を紹介したいと思います。七海癒亜さんはいってきてください」

「…………」

 静かに戸を開けてリボンで髪を結わえた一人の少女が入ってきた。結構女子にしては身長が高く、百七十一センチある僕程度の身長だと思う。節目がちなのは緊張している様子だろうし、盗み見るようにクラス中を見渡して誰かと目でもあったのだろう………そのまるで透けるような肌が朱に染まる。

「うんうん、すげぇ可愛い子が入ってきたな、時雨」

「そうだねぇ、あれはめちゃくちゃ高得点だね」

 僕の隣に座っているのは三原宏太。野球部に所属しているが髪の毛を坊主にはしていない。まぁ、弱小野球部だし、顧問がいないし、試合らしい試合なんてしているところを見たことがない。だが、部員が少ないだけで個々の能力が高い………しかしまぁ、結束力が一切なく日々一対一(ピッチャーVSバッター)の対決が行われている……。

 宏太は成績がいまいち、ルックスは比較的よく性格もお調子者だが優しいので比較的女子にもてる………とりあえず、この高校に彼の彼女はいない。

「きょ、今日から………今日からここの生徒になるな、七海癒亜ですっ!」

「おおっ、あの緊張しっぱなしの姿もいいなぁ」

 男子の大半が今の言動で心を動かされたらしい。気のせいか鼻の下まで伸ばしている連中がいるような気がする。

「時雨時雨、あの子お前の好みか?」

「はぁ?」

 宏太の反対方向から声が聞こえてくる。まぁ、その男子生徒に関しては田中ということにしておいて欲しい。

「いやぁ、残念だがあの子は俺の嫁予定候補だ」

 そして前の席の古賀が振り返ってそんなことを言う。

「なんだよ、嫁予定候補って………」

「藤堂美羽ちゃんが第一候補な」

 もはや言葉も出ないね。

 ため息をつく僕と田中と宏太………そして転校生は僕の隣に座る事無くいまだ話したことのない女子グループの一人の隣の席に落ち着いたのだった。ま、そんなもんでしょ。


――――――


「時雨、お前今日居残り掃除だったか?」

「………」

「窓拭き当番だよなぁ?」

「ついでに言うならゴミだしも………だったよねぇ?」

 ああ、なんてついていないんだろ……というか、高校生にもなって居残り掃除当番ってなんだよ!じゃんけんで負けたら全部押し付け!?信じられねぇ!

 去って行くクラスメート達の背中を恨みながらも、いやいや、これはよくある天候生徒の偶然遭遇………もしかしたらあの素晴らしい転校生とお近づきになれるやもしれんな。

「………ま、そんなのは都合がただいいだけか」

 気がつけば僕一人。

「事情はわからないけど今日は一人で天道時君が掃除をするのね?」

「え、ええまぁ………」

 いや、先生がいたいみたいだ……まさかとは思うけど……先生ルートを通れますか?

「じゃあがんばって」

「は、はい………」

 所詮は儚い夢とか………妄想。結局、僕はその日一人で掃除をしたのだった。


 時雨のお掃除能力が1上がった♪


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