いつもの日常
職務室にて私は朝からずっと書類と向き合っていた。
今の時期は大半が入隊許可の書類であり、ただサインするだけなのだが、たまに重要な書類があるので脳死では出来ないのだ。
「これは入隊許可だからサイン、これも入隊許可だからサイン、これは第1番隊との合同軍事演習だから保留と」
「失礼します。お茶をお持ちしました」
と言い部屋に入ってきた彼女は
『夜無 ニア』
私の秘書をやっており、朝から晩まで働いている。
逆に働いてない姿を見ないのでたまにファン(仮)から休ませる様にと要望書が届くらしいのだが、私の手元に届く前に捨てているらしい。
「ニアさんありがとうございます」
「はぁ、そろそろ休憩してはどうですかうがさん」
「今日は午後から見回りがあるから今のうちにやらないといけないんだ」
はぁ、さようですかと言い、ニアは職務室にある椅子に腰掛けてお茶を飲み始めた。
「最近、ずっと忙しいそうですね」
「あぁ、今は育成所の卒業シーズンだからどうしても忙しいなるんだよ」
「……もうそんな時期でしたか」
「やっぱり今でも思い出すか」
「はい……」
ニアは手を止め俯いた。
私も昔を思い出し、動かしてた手を止めてしまった。
「……」
「……」
長い沈黙が続くほど私達には重い出来事だった。
「隊長、はいりますよ?」
その時、その空気感を晴らす様に高橋が職務室に入って来た。
「たいちょ〜、本部からなんか届きましたよ〜ってどうしたんですか?2人ともそんなに暗い顔して」
「少し昔のことを思い出してな。ところで本部から何が届いたんだ?」
「中身見てないので分からないですが、緊急重要書類って書いてありますよ」
「緊急なことを書類で送るなんて珍しいなぁ」
高橋から書類を受け取り、中身を取り出した。
「どれどれ、『本日、特別会議にて研究所の建設場所について議題に上がり、その結果第3番隊支部の北側に建設することが決定した。そのことについて所長の竹村より説明がしたいとの申し出があり、本日15時に第3番隊支部に赴き話し合いをするのが決まったので準備をする様に』って急過ぎん。そして来るのが千聖さんとかやばいやん」
「流石、市場さんですね。リュウさんが断る、もしくは先延ばしにする可能性が高いから緊急にしたんでしょうね」
「のんびりしてる場合じゃない。ニアさんは田中さんを、高橋は午後変わりに見回りをやってくれる人を探して来てくれ」
「かしこまりました」
「了解です」
今日はこれからもっと忙しい日になるのかぁ〜
そう思いながら腰を上げ動き始めた。