64.epilogue
少し女性向きなエンディングです(^_^;)
和平も無事締結され、私たちはその晩はヒルデンブルグ城に滞在させていただくことになった。
私とバアルは、今二人で王城の庭を眺められるテラスに二人きりでいる。
今、ヒルデンブルグ城の庭は、和平がなったことを祝うように、色とりどりに咲き乱れている。
「リリー、全てが済んだら、君に伝えようと思っていた事がある」
そう言って彼は優しく私の指先を捕える。アクアマリンとピンクトルマリンの互いの視線が絡み合い、その瞳にはどちらにも互いを思う気持ちを秘めている。
バアルが捉えた私の指先は、彼の口元に導かれ、そっと私のピンク色の指先は、彼の口付けを受ける。
「私の伴侶になって欲しい。……生涯を共にするなら、あなた以外に居ないんだ」
望んでいた嬉しい言葉に、私は片頬にほろりと涙を零す。
でも、と。私の心を悩ませていた一つの悩みを口にする。
「あなたと私では、寿命があまりにも違います。……私はいつか愛するあなたを一人残してこの世を去らなくてはならないのが、悲しいのです」
そう告げると、バアルが私の体を引き寄せ、優しく抱き寄せる。
「愛しき優しい人。私の事を心配してくれていたんだね。……大丈夫、婚姻の儀式を経れば、君は魔王の伴侶として、私とほとんど同じ寿命を得ることになる。体の加齢もほぼ止まると言っていいだろう。他にまだ君を煩わす悩みはあるかい?」
私は、彼の腕の中で目を瞑り、何も無い、と首を振った。
「愛しているよ、リリー」
「私もあなたを愛しています。バアル」
バアルが、私の背丈までしゃがみこむ。私達は、美しい花々に祝われながら、そっと唇に触れるだけの口付けを交わした。
◆
私たちは、まず、親友であるエルミーナとデイジー、そして、バアルの部下であるアドラメレクとフルフルにそのことを告げた。
すると、まず、フルフルがさも当たり前のように口を開く。
「デイジーも俺と結婚するだろ?」
「はあ?なんやその色気もへったくれもない言い方は!」
そう言って、デイジーはぶんっと片腕をあげる。
その手首をフルフルは捉えると、ちょうど壁のそばにいたデイジーの腕を、壁に押し付ける。
「……俺じゃ、イヤ?」
片腕を優しく拘束し、覗き込むようにしてフルフルがデイジーに尋ねる。
「……嫌や、ない」
何とか答えるデイジーの顔は真っ赤だ。
フルフルは満足気に口の端を上げて笑うと、デイジーに触れるだけの口付けをした。
「うーん」
エルミーナが、腕を組んで唸る。
「どうかしましたか?」
楽しそうにアドラメレクがエルミーナに尋ねる。
「私だけ、親友たちにおいていかれてしまったようだ」
対して、エルミーナは真面目に答えている。
「おや?」
そう言って、エルミーナの黒く艶やかな長髪を、一束掬いとって口付けた。
「……貴女は私の気持ちにお気づきじゃない?」
妖艶な瞳でエルミーナを上目遣いに捕らえ、くすり、と笑う。
エルミーナの頬が、ほのかに朱に染る。
「アプローチが足りなかったかもしれませんね」
そう言って、くい、とエルミーナの顎を捉えて上向かせる。
「……口付けても良いでしょうか、我が愛しの姫」
「ず、ずるくないか、私に言わせようなど……!」
「答えは?」
アドラメレクは相変わらずにっこりと微笑むだけだ。なぜなら、羞恥で頬を染め、捕らわれたまま逃げようとしないエルミーナそのものが、答えだからだ。だが、その様子には少しばかり嗜虐心が唆られる。
「……答え、は?」
掠れた声で、触れるか触れないかの距離でアドラメレクの唇が問いかける。
「……問題、ない」
ギリギリで答えるエルミーナ。
「私のことが、好きですか?」
アドラメレクはその答えでもまだ許さない。
「……好き、だ」
ようやく、息を吐き切るようにエルミーナが答えると、「よく出来ました」とアドラメレクがにっこり笑って唇を奪っていた。
◆
こうして、私たちは仲良く三人揃って魔族の人を伴侶として選ぶことになった。
親族への許しを得ることや、国への挨拶など、まだまだやることは沢山ある。三人とも魔族領に行くといい出したら、王様は大騒ぎするかもしれない。
……でも。
私たちは親友で、これからもずっと一緒に生きていく。
これからもよろしくね、みんな。
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魔王女が行く!最強の魔王の娘が人間の学校に入学しちゃいます~自重ってなあに?父様と母様からは教わっていません!~
王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営致します~
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