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59.優しい人たち

 私は目を覚ましたあと、私のために集まってくれたという村人たちにお礼が言いたいとお願いした。すると、バアルが、私の肩にケープをかけたあと、私を所謂お姫様抱っこで抱き上げた。


「目覚めたばかりだ。少しだけだぞ」

 そう言って、私を抱き上げたまま、城門へ向けて歩いていった。

 私は、突然の『お姫様抱っこ』に、顔が赤くなるのを抑えるのに必死だった。

 シャーマンのばば様や、その部屋にいる皆は、その様子を微笑ましいものを見るように、見守っていた。


 門の外には、旅でであった色んな種族の人達がいた。

「「「リリー!」」」

 みんながわっと私たち二人を取り囲む。


「大変だったんだってな」

「目が覚めてよかった!」

「人参ちゃんと食べるぴょん!」

「魔王さまが守ってくださってるなら安心して帰れるな!」


「みんな、心配してくれてありがとう」

 皆が思い思いに労りの言葉をくれる。

 この国の人達はそれぞれ色んな姿形はしていても、心はみんな優しいなあ、と嬉しくなった。


「みんなこれから帰るの?」

 私は、バアルに抱かれたまま、みなを見回す。


「ああ、そうだ。村の復興もまだまだだしな!」

 そう言って答えたのは、オークのドグマ。


「じゃあ、少しでも疲れが取れるように。みんな側に寄って」

 ……みんなの旅の疲れが取れますように、皆の帰り道が安全でありますように。


「エリアヒール」「エリアブレス」

 みんなに回復と祝福をかけた。


「「「リリー、ありがとう(ぴょん)!」」」


 そうして、安心したみんなは思い思いに帰途についた。

 私は彼らの姿が見えなくなるまで手を振って見送った。


「じゃあ、部屋に帰るぞ」

 私が手を下ろした頃合いを見て、バアルに声をかけられる。

「はい、ありがとうございました」

 バアルを見上げてニッコリ笑いかけると、心なしか、彼の目元が赤く色づいた気がする。

「……行くぞ」

 照れ隠しなのか、すぐにふいっと顔を背けると、部屋に私を連れ帰ってくれた。


 ちなみにシャーマン族の二人は、ばば様が高齢ということもあって、一晩泊まっていただくことになった。


 ◆


 次の日の朝、エルミーナは暇を持て余していた。


 リリーを見舞おうかと思って部屋を訪ねると、空いた扉の隙間からリリーがバアルと共にいるのが見えた。どうやら、朝食の粥を、魔王手ずから食べさせてもらっているらしい。

 ……意外に世話焼きなんだな。野暮はなし、他へ行くか。


 庭に面した居間を通りかかると、デイジーとフルフルが庭で撃ち合いをしているのを見かけた。

 デイジーがハルバードなのは見慣れているとして、フルフルもあの見た目で手に持つ獲物は死神の鎌(デスサイズ)だった。

 ……恐るべきちびっこ組。首狩り組、増えたな。


 うーん、すっかり我が親友たちは良いパートナーを得ようとしているらしい。

 ……まあ、私は可愛げのない女だからな。奇特な男はそうそういないだろう。


 独りごちて、部屋を出ようとすると、昨夜泊まっていただいたシャーマン族のばば様と出くわした。

「おや?手持ち無沙汰そうじゃね?」

 ばば様から声をかけられる。


「あはは、ご指摘の通りです」

 私は適切な指摘に苦笑いして答える。


「だったら占いでもしてあげようかね」

 座りなさい、と手で促されて、私は対面のソファの一方に腰かけた。


 ばば様が取りだしたのは、木の板に様々な記号や絵が描かれたカードだった。

「どれ、占ってみよう」

 ばば様の手が、テーブルの上に裏返しにして置かれたカードを、サラサラと器用に混ぜる。

 そして、数枚を所定の位置に順に置いていく。


 私はちょっとワクワクしながらその結果を待った。


 ばば様は一枚一枚カードをめくる。

「過去。あんまり男性に良い縁はなかったようじゃの」

 ……ユージーンのこととかか?というか、恋占いだったのか……

「現在。まだ距離はあるが、お前さんを見守っているものが居そうだね」

 ……そんな男いたっけ?最近お茶したのも『クジャク』だけだしなあ……

「未来。おや、大きな試練がありそうだ。だけど、それをきっかけに縁が深まりそうじゃの」

 ……試練ってなんだろう。大事じゃないといいけれど。


「占いは以上じゃよ。参考になったかい?」

「……いまいち実感がわかない部分もありますが……ありがとうございました」

 私がぺこりとお辞儀をすると、ばば様はホッホと笑って部屋を後にした。


 ばば様たちシャーマン族の二人は、その日の昼に城を出て行った。

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

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