05.初めての攻撃魔法
私たちは相変わらず安全な白い部屋で休憩中だ。
「どの属性が使えるかも戦略に関わるから、安全なここで練習してみたら?」
エルが提案してくれたので、私はひとまず各属性の魔法を使ってみることにした。
水属性は……「赤い連撃」のスノウの十八番だったから、イメージわくんだよね。で、やっぱり後方で攻撃支援するなら、断然氷でしょう!
「氷の楔」
手のひらから十五センチ程の氷の杭が出現し、中央の壁にぶつかって粉々になって散った。
「できた!」
「「おー!これは即戦力で行けそうだ(ね)」」
火属性はダンジョン内だと危ないし、そもそも素材が燃えちゃあお金にならないしなあ。適当に初歩魔法やっとこう。
「火炎弾!」
拳大の炎が手のひらに現れて中央の壁にぶつかって消えた。
「うん、火属性もクリア!」
「「おー!」」
風と言ったらまずはあれだよね!
「風の刃」
柱に向けて真空の刃が飛んでいき、柱に傷がついた。
「わあい、三属性目~」
「「お、おー……」」
喜んではしゃぐ私を横目にだんだん引いてくる二人。あれ?
次は土属性。飛ばすのは火属性でやったから、指定地点で出現させるのをやってみよう!
「岩の杭」
柱の脇にめり込むように岩の杭が何本か出現する。
「「四属性全部!?」」
私が「全部できたー!」って飛び跳ねようと思ったら、それより先に二人が驚きの声を上げた。
「リリーってぶっ壊れ性能?回復もできて支援もできて攻撃魔法も四属性出来る。まぁ、落っことされたこの状況じゃありがたいことこの上ないけどなあ」
デイジーが呆れながら言う。
「まさに不幸中の幸いだな。そうだリリー!氷を使えるなら、敵の足止めするのはできるかな?」
エルが聞いてくるので、「やってみる」って答えた。それならスノウがやってたのを見た事がある。
「氷縛!」
柱に手のひらを向けて、足元を氷で縛めるイメージを浮かべると、柱の根元が下からパキパキと凍りつく。
「成功だな。複数の敵の時は、早めに敵の足止めもしてくれると助かるよ」
エルはニッコリ笑って私の頭をぽんぽん、と優しく叩いた。
……なんかちょっとエルの笑顔に照れちゃって、顔赤くなったりしてないかなあ、私。慌てて頬を抑えてみた。