40.不穏
私たちは、ドワーフ王国でたくさんの歓待を受けた。討伐後の夜は飲めや歌えやの大宴会。
主に楽しんでいたのはお酒を浴びるように飲んで歌って踊るドワーフ達本人のような気もしたが……
ちなみに、私たちはミードという蜂蜜酒を頂いた。甘くて香り良く美味しかった。
ドワーフ王は、ヒルデンブルグの王に、贈り物の返礼として、ドワーフの黄金細工の宝飾品などを贈るようだ。なお、ドラゴンの鱗を使った甲冑などは作成中で間に合わないと嘆いていた。
そして、ドワーフの鍛冶技術の高さ!
あっという間に『我が国のドラゴンスレイヤー』として、デイジーの銅像をつくりあげ、国の中央に飾るのだという。それを見た時のデイジーの、まさに鼻高々なご機嫌な様子は想像がつくだろう。
「これでアタシも国の英雄だ!」
エッヘンとばかりに、腰に拳を置き、銅像と並んで胸を張っていた。
そして、ヒルデンブルグに戻る日がやってきた。
預かってもらっていたヒポグリフに乗り、三人で空に舞う。
「とーちゃーん!もっと立派になって帰ってくるからなー!」
デイジーは地上に大きく手を振っていた。
そうして、私たちはヒルデンブルグに帰っていった。
◆
ヒルデンブルグ王宮内。
私たちは、ヒルデンブルグに帰国の挨拶をするため、国王陛下と宰相閣下に面会していた。
「「「ただいま戻りました」」」
私たちは揃って一礼する。
「これが、ドワーフ王国の国王陛下から預かった手紙と贈り物です」
そう言ってデイジーがアイテムボックスから親書と贈り物を陛下に渡す。
「うむ。ご苦労であったな」
陛下はそう言いながら、横で宰相閣下に親書を渡し、封を開けさせている。
「デイジー殿は良い帰郷になったかの?……と、またもや龍を退治したのか、そなたらは」
親書の文面を読んだ国王陛下と、それを聞いた宰相閣下が驚きに目を見開いて私たちを見た。
「いやはや、頼もしい限りだが、驚かされるな、そなたたちには」
国王陛下の言葉に宰相閣下も頷く。
「我が国も今、頼るべき勇者パーティが行方不明になっており、そなたたちが一番の頼りだ。有事の際には頼んだぞ」
その言葉に、かつて勇者パーティにいたエルが身を乗り出す。
「勇者パーティとは、ユージーン達のことでしょうか」
「うむ。定期報告にも音沙汰がないものだからな、捜索隊を出したのだ。しかし、見つかったのは、途中立寄ったと思われる宿屋の一室に隠された聖剣カラドボルグだけだったよ」
嘆かわしげに頭をゆるゆると振って陛下が答える。
そして、それを聞くエルの表情は複雑だ。
「そういえば」
思い出しように宰相閣下が再び気になることを口にする。
「最近、奴隷達が行方不明になる事件が発生していてな。例のデイジー殿を煩わせていた冒険者も、そのひとりなのだよ。逃亡というのではなく、どちらかといえば、消えてしまう……拐かされているようなのだ」
その話には、デイジーが複雑そうな顔になった。
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