38.ご褒美と新たな職業選択
【聖女のレベルが上限に達しました。以下の職業を追加で選べます】
・空間魔導師
・時魔導師
頭に響くコレが気になるが、まずは依頼達成報告でしょう。
ようやく私たちは起き上がって、宝物庫の扉を開ける。
「龍退治、終わりましたよ。もう安心です」
「おおおおお!」
扉の向こうに控えていた警備兵さんと、デイジーのお父さんのガザンさんが歓喜の声を上げる。
「これは早く陛下にお伝えせねば!」
警備兵のひとりが走って報告へ行く。
「父ちゃん、アタシやったで!」
「流石ドワーフの子だ!家を飛び出した時はどうなるかと心配したが、立派な戦士になって帰って来てくれて私も鼻が高いぞ!」
そう言ってガザンさんは、デイジーを抱き上げ、高い高いをする。
……二人とも背が高くないから、そこまで高くないけどね。
そうこうしてるうちに、ガイン王も側近を連れてやってくる。
「まさか本当に退治してしまったとは!」
依頼しといて、『まさか』っていうのはないと思うよ?
「英雄たちよ、本当にありがとう!しかもそのうちの一人が我が一族の者とは鼻が高い!兵士たちよ、ガザンの子デイジーを見習って励むが良いぞ!」
「「「ははっ」」」
と兵士たち一堂が畏まる。
「倒してくれた龍の素材は、正当に買い取ろう。その他にもなにか褒賞が必要だな……宝物庫の中から好きなものを一つづつ持っていくが良い。役に立つものもあろう」
そう言われて、私たちは揃って頭を下げる。
「「「ありがとうございます!」」」
◆
「でも山のようにあるよねえ、どうしよう」
宝物庫の中で私たちは悩んでいた。
ちなみにデイジーは王冠を被ったりして遊んでいる。ちゃんと考えようよ。
そうこうしていると、『鑑定』を持つエルが何かを見つけたらしい。
「あれ、これは魔力が上がる指輪だ」
「そして、こっちが力に、こっちが素早さ」
魔力が私で、素早さがエルで、力がデイジーかなあ。
各自に渡してはめてみる。
「お揃いっぽくて良くない?」
三人で顔を見合わせてにっこり。
うん、決まり!
◆
そうして、山といえば温泉。あるっていうなら入るよね!
国王陛下の計らいで、入れていただける事になった。
「はー、体の疲れがほぐれるー」
今日はデイジーも泳いだりせずに大人しい。流石に疲れたのだろう。三人で横並びでくったりだ。
「そういえば、また職業が選べるようになったみたいなの。空間魔道師と時魔道師」
そうだ、と思い出してみなに相談する。
「空間魔法は、行ったことあるところに行けるようになる『転移』とか『アイテムボックス』が使えるようになるみたい。で、時魔法は、私たちの動きを早くしたり、敵の動きを遅くしたり、止めたりできる」
私が、『魔術を統べるものの指輪』の知識を使って説明する。
「転移魔法は憧れるなー。でも、アイテムボックスはデイジーと被るから必須でもないね」
そういうのはエル。
「リリーさんの支援のバリエーションが増えるのは時魔法やねえ。それに移動ならヒルデンブルグの王様に、またヒポグリフ借りればええやん」
「ちょっとそれは……」
デイジーが『王様のものはアタシのもの』に近い事言い出す。流石にエルが呆れている。
「まあそういうことで、時魔法選びまーす!」
【聖女のレベルが上限に達しました。以下の職業を追加で選べます】
・空間魔導師
→時魔導師
「なあなあ、早くなる魔法かけてーな」
デイジーがオネダリするので、練習がてらかけてみることにした。
「加速」
すると、すごい勢いでデイジーが泳ぎ出した!ちょ、水しぶきがすごい。
「おいこら、やめないかデイジー!」
エルに捕まるまでそれは終わらなかった。
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