37.双龍退治②
「いつでも私が回復できるから、みんな、大丈夫よ!」
「「おう!」」
わざと大きな声で私が回復師であることを誇張する。
「では、そなたから我が生み出す溶岩で逝ってもらうとするか」
テューポーンが私に向けて首をもたげる。
私は片手で防御壁の準備をする。
その隙に、再びエルとデイジーのふたりが隙をついて双龍の首の付け根にまたがる。
「愚かな。さっき吹き飛ばされたこと忘れたか!」
ピュトーンが嘲笑う。
だけど、私たちは自らを犠牲にした策を考えてあるもの!
「鉄の杭!」
私は、空いた方の手で長い鉄の杭を四本展開する。そして、その杭をエルとデイジーの太ももに打ち付けた。杭は太ももを貫通し、龍の体まで刺し通す。
「痛ってー」
「流石に痛いな」
デイジーとエルが苦痛に顔をゆがめるが、作戦通りだ。
ピュートーンが首を振り回したが、杭に阻まれて、二人を振り払うことは出来なかった。
二人は首切り作業を開始した。
そしてテューポーンの溶岩が私に向かって吹き付けられる!
「氷の嵐」
こちらへと向けられる溶岩に、私が作り出す吹雪をぶつけ続ける。すると、溶岩を芯まで固めることは出来ないが、表面が黒く冷え固められ、ボトボトと床に落ちていき、溶岩石の山を作っていく。
……こうなったらどちらが先に尽きるか、持久力比べよ!
私が流石にヒールをかけてあげる余裕もないので、首狩り組は各自太ももの傷が拡がると回復ポーションを飲む。しかし、テューポーンも、ピュトーンも痛みで暴れるため、エル達は非常に痛そうに顔をゆがめている。
そうしていると、テューポーンの溶岩が尽き果てたのか、溶岩が口から吐き出されることは無くなった。
かわりに、ピュトーンが氷のブレスを吐き出してくる。
「炎の壁」
……首が落ちるまで、耐えてみせる!
そうして、ようやく一本、そして二本と龍の首が落ちて、吐き出すブレスも涸れていった。
「よっしゃ、やったで!」
「こっちもだ!」
ズズゥン……と、大きな音を立て、双龍の巨体が息絶え、崩れ落ちる。
「「せえーのっ!」」
痛みを覚悟して二人が杭を引き抜く。
「ハイヒール」「ハイヒール」
私はすかさず回復する。
「「「しんどかったー!」」」
その場で私たちは大の字で寝転ぶ。
……私たちは、かろうじて双龍退治を成し遂げた。
そして、例の声が頭に響いた。
【聖女のレベルが上限に達しました。以下の職業を追加で選べます】
・空間魔導師
・時魔導師
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