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34.ドワーフ王国

 私たちは、ブレドゥの街を後にして、再びヒポグリフでの旅を再開した。そして、目前に大きな山脈が近づいてきた。

「あそこがドワーフ王国の入口や!」

 そう言って、緩降下していくデイジーに連なって、私たちも地上へと降りていったのだった。


 山の斜面に立派な両開きの扉が付いており、その両脇にはドワーフの重戦士が門番として立っている。

「何者だ!ドワーフ王国へ何用だ!」

 門番が手に持つ互いの斧を、クロスさせて、行く手を阻む。


 そこへ、一歩デイジーが前に出た。

「ドワーフ王国の騎士ガザンが一子、デイジーや。父に会いに戻ったのと、ヒルデンブルグ王国国王からドワーフ王国国王へ贈り物を預かって来た」

 そう言って、自分の身分の証明にギルドカードを見せた。私とエルも一緒に見せた。


「そしてこっちが国王あての親書や」

 そう言ってアイテムボックスから、王家の印の付いた封蝋で閉じられた封筒を見せる。


 その印を見て頷きあった門番達が、「開門!」と叫ぶと、重い大きな扉がようやく開いたのだった。

 扉のむこうは、薄暗い洞窟が続いていた。

 兵士の一人が案内役として先導し、ランタンで照らされた長い長い洞窟をくぐっていく。


 そしてそこをぬけた時……

「うわぁー!」

 私は思わず感嘆の声をあげる。


 王国の内部に一歩入ったその光景は壮観の一言だった。

 高い岩山の中を大きくくり抜いたそこには巨大な空間が広がっており、その空間は無数のランタンで余すところなく煌々と照らされている。


 うねり曲がった道は延々と上部へと続き、その先には王城と見られる黄金で装飾された宮殿がそびえ立つ。そして、その道の脇にはドワーフ達の家や工房が連なり、賑やかな鍛冶の歌と掛け声で賑わっていた。


「うわー、懐かしいわ!」

 デイジーは、その光景を感慨深そうに眺めながら立ち止まる。


「兵士のおっちゃん。騎士ガザンはどこで何してる?会いに行きたい!」

「国王陛下の護衛をしております。ですが、デイジー様はヒルデンブルグ王からの贈り物をお持ちです。それに皆様は高名な冒険者との事。でしたら、王に面会されてはどうでしょう。王もお喜びになるかと」

「そうするわ!面会の許可を取ってくれ!」


 私たちはまず、ドワーフ王国の国王と面会する事になった。


 ◆


 対面には時間はかからなかった。むしろ、すぐにでも会いたいと仰られたらしい。


 王の間に案内されると、玉座には、さすが鍛冶師の国ドワーフ王国の王、といった出で立ちの男性がいた。黒い癖のある髪に豊かなあごひげ、背は低いが鍛えられた体躯。そして、細工と黄金、宝石と、贅の極みを尽くした黄金の冠を頭に頂き、黄金の王笏を手に持ち、真紅のマントを羽織っている。


 そして、その両脇にはミスリルかなにかであろう白く輝く細工も美しい鎧を着用した護衛騎士が立っている。

「よく帰って来た騎士ガザンの娘デイジー!わしはこのドワーフ王国の王ガインじゃ。デイジーの友人のそなたらも歓迎するぞ!」


「わたくしは、エルミーナ・ブロンベルク、剣士をしております」

「わたくしは、リリー・ファルケンホルスト、治癒と魔法攻撃を得意としております」

 私たちは、王からの歓迎の言葉にはまずは自己紹介を述べて礼をする。


「ガイン様!ヒルデンブルグ王から親書と贈り物を預かってまいりました。献上してもよろしいでしょうか」

「ガザン、そなたが受け取ってくるが良い」

 王が騎士の一人……デイジーの父親らしい人にそう命じる。

 騎士ガザンは、上座から降りてきて、デイジーから贈り物を受け取る。受け渡しの時に目を細める様は、娘を見る親のそれだ。

 そして、贈り物と親書を、王の玉座の脇にある机の上に乗せて、王の前へ差し出した。


 王はまず親書に目を通す。

「なんとデイジー、龍殺しを成し遂げたか!」

 王が贈り物の箱を開ける。するとその中には、討伐の証明とばかりに、ドラゴンの鱗や牙、爪などの素材が詰められていた。


 デイジーの父親は驚きに目を見開き、デイジーは誇らしげに胸を張っていた。

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

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