表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/64

31.ヒポグリフ

 出発の日、私たちは王城の一角にある騎獣舎へやってきた。ヒポグリフを借りるためだ。

 世話係の役人さんは、

「女性を乗せるとの事で、優しい性格の子を選んでおきましたよ」

 と言って三頭のヒポグリフを紹介してくれた。


 旅の相棒になるヒポグリフの瞳を見つめて、その頭を撫でる。

「旅の間、よろしくお願いね」

「よろしくな」

「よろしく頼むで!」

 すると、各々のヒポグリフはくちばしを下げ頭を垂れた。賢いなあ。


 挨拶が済んだので、それぞれヒポグリフに乗る。

 エルとデイジーはパンツ姿なので跨って乗っていたが、私はローブのため、横乗りである。


「行ってらっしゃい!」

 騎獣舎の人たちに見送られて私たちは空へと浮き上がって行った。


 ◆


「うわー、人があんなに小さく見えるわ」

 先頭はデイジーだ。デイジーの実家に行くのだから当然案内役は彼女だ。ついでにハルバードを振り回して出くわした鳥型モンスターを露払いしていく。

「空の旅とは爽快でいいな」

「わ、私はちょっと怖いかも……」

 そういう私に合わせて、最初はゆっくり、そして徐々に飛行速度を上げて飛んでいった。


 そうして、ヒポグリフとしては通常の速度に落ち着いた頃、その速さは素晴らしかった。

 家や畑、村や町がぐんぐん景色として流れていく。

 そうして、騎獣舎があるであろう規模の大きい街で一泊することにして、街の少し手前で降りることにした。


 街の入口で身分証を求められたので、ギルドカードを差し出す。みんな揃ってSランクのゴールドカードだったので、急に衛兵さんの態度が恭しいものになり、「ようこそブレドゥの街へお越しくださいました!」とまで言われてしまった。

 Sランクカード効果ってすごい!


 門を無事に通り過ぎ、ヒポグリフの手綱を引いて歩かせながら、宿屋を探して歩く。

「おや、ヒポグリフ連れの旅かい?珍しいね」

 果物屋の前で客引きをしているおばさんが声をかけてきた。


「そうなんです。騎獣舎のある良い宿を知りませんか?」

 エルがおばさんに尋ねる。


「ご領主様のお舘に続く通りにある宿が一番上等で、あんたたち女の子にも安心だろうけど……料金はそれなりにするよ?貴族様も泊まるから、厩舎なんかはちゃんとしてると思うがね」

 そう言って、あっちの通りをまっすぐね、と手振りをつけて教えてくれた。


「ありがとう、恩に着るよ。それで、今一番おすすめなものはどれだい?」

 と店に並んだフルーツを指さす。


「今日はライチーが異国からちょうど仕入れできたところでね。冷やして食べるとうまいよ」

 そう言って、ライチーの入った竹かごを差し出す。

「じゃあこれで……お釣りは要らないよ」

「毎度、ありがとね!」

 おばさんに手を振ってその店をあとにした。


 私たちが言われた通りに歩いていくと、たしかに立派な宿があった。

「宿をお探しですか?」

 宿の者と思われる、上品な服を着た男性が尋ねる。


「ああ、ヒポグリフがいるから、騎獣舎があると助かるんだが」

 勿論です、と一礼をすると、こちらです、と騎獣舎まで案内してくれる。

 きちんと整えられているであろうことがわかる清潔な場所だ。


「ここならいいかな?」

 エルが尋ねるのがわかるのか、頭をすりすりと擦り付けてから、三頭とも自ら中へ入っていった。

「これは実に賢いですな。丁重にお預かり致します」

 そう言うと騎獣舎の係員を呼んで、指示をしていた。


「では、お部屋にご案内いたしましょう。当宿は安全かつ上質を売りにした宿でございます。念の為、ご身分を証明いただけますか?」


 やはりここでも、ゴールドカードが良い仕事をしてくれた。しかも、エルと私は家名まで記載があるしなあ……。

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

・面白かった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。

評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ