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30.デイジーだって自慢したい!

 私がお爺さまのお屋敷に出かけた翌日のこと。私たちは三人でお風呂に入っていた。

 相変わらずデイジーは泳ぎの練習に余念が無いが……。

 残りの私とエルは普通に肩まで浸かってお湯を楽しんでいる。

 すると……


 ざっぱん!

 水しぶきを上げてデイジーが立ち上がった。

 いわゆる仁王立ちだ。


「ちょっとそれ、水しぶきがかかるんだからやめなさい」

 さすがに毎回なものだから、エルが苦言を呈す。


「エルとリリーだけ、家族に褒められてズルい!」

 突然ぷんすかと怒り出すデイジー。


「あ、そうだね。デイジーは実家に帰ってないよね。どこなんだい?」

 よしよし、と言いながらエルは宥めるように、デイジーの濡れて乱れた髪を指先で整えてやる。


「ドワーフ王国!そこに父ちゃんがいる!」

「ドワーフ王国ってどこにあるの?」

 私はこくりと首を傾げる。孤児院育ちで世間知らずな私は、その所在を知らなかった。

「この国の北部の山岳地帯。そこに穴を掘って地下王国にしとるんや!」


「私もドラゴンスレイヤーになったって言って凱旋帰国したいねん!」

 えっへん、とデイジーが無い胸を張る。

「ドラゴンスレイヤーって証拠はないんじゃない?」

 エルが尋ねる。


「ふっふーん。実はドラゴンの牙を一本失敬しとったんや。それでネックレス作ったった!」

 それを聞いたエルがピンっとデイジーの額をデコピンする。

「こら。みんなでちゃんと分けるのが基本でしょ!勝手にそういうことしない!」

「んー、せやけどどうしても自慢になるもの欲しくて……堪忍な」

 おでこを擦りながら、デイジーがしゅんっと落ち込む。


 私は、よしよし、と言いながら、落ち込むデイジーを引き寄せだっこする。

「そもそも龍の集めていた金だけでも、使い切れないほどの分け前になっているんだから、それくらい大目に見てあげようよ」


「私だって別にお金に困る身分じゃないんだし、それくらいはいいよ。だけど、信用問題は大事なんだからね、デイジー」

「はぁい」

 エルからのお咎めはそれくらいで済んだようだ。


 ◆


 しばらく国を空けるので、国王陛下にもご挨拶しておこうということになった。その申し出は快く受け入れられたので、翌日三人で揃ってご挨拶に伺った。

 伺った先は、小さな応接室だったのだが……。その入口で見覚えのある若い男性が待っていた。


「やあ!僕の聖女さま!」

 そう言って、男性が私の両手を握り、そのエメラルドの瞳でキラキラと私を見つめてくる。

「え、えっと……?」

 急なことで言葉が出ない。


「私だよ!君が呪いから寝覚めさせてくれたじゃないか!」

 ああ、そうだ!王太子殿下だった!

「私は君にずっと会いたくてね……!」

 なんだか捕まって長くなりそうな雰囲気だった時、中から救いの声がかかった。

「ニコラウス殿下。あまり女性を困らせるものではありませぬぞ」

 宰相閣下だ!

「皆さま、中へお入りください。陛下がお待ちです」

 閣下の声で衛兵が扉を開けて、部屋の中へ案内してくれた。


 ◆


「ほう、デイジー殿はドワーフ王国の出身か。かの国には我が国も大変お世話になっておる」

 国をしばらく離れることには、すぐに納得してくれた。


 そこへ、宰相閣下が陛下に提案をしてくれた。

「この間討伐したドラゴンの素材を、我が国からの贈り物として預け、届けていただいてはどうでしょう。かの国であれば優秀な技術者がおります。有効に活用していただけるでしょう。それに、デイジー殿も、ドラゴンスレイヤーとしてご親族の方々に自慢できるでしょうしな」


 そして、『ヒポグリフ』という空飛ぶ騎獣も貸していただけることになった。ヒポグリフとは、グリフォンと馬の間に産ませた生き物で、翼をもって空を飛ぶことが出来る。これなら短期間で行って来れそう!

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

・面白かった

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