03.ミノタウロス戦
「あ、ちょっと待って」
エルミーナが扉を開けようとする前に、彼女を止める。
「バフかけさせて」
そう言って、かけられるバフ全てを彼女にかける。
「筋力増加」「速度増加」「攻撃強化」。
そして私に「魔法強化」。
「え?ちょっとあなた回復師でしょ?」
「だって元のPTアタッカーばっかりで、支援できる人いなくって。だから私が覚えました!さあ、行きましょう!」
エルミーナは思った。
『リリーを追放したPTは今後同じ威力を発揮できるのだろうか』と。
なぜなら、剣を握る感触だけでわかるのだ。彼女のバフで自分の力が数段上がったことが。
エルミーナが慎重に扉を開ける。
「居た。小さな女の子がいる。」
「……でも側にミノタウロスが一匹いるな……私が引き付けているうちに、彼女を回復してくれ。行くぞ!」
エルミーナが剣を抜き、扉を開ける。
「お前の相手は私だ!!」
気を引きつけるための剣戟を腹に一閃入れる。いい感触だ。深深と脂肪が見えるくらいには剣が入っている。
「ブモオオオオオオ!」
ミノタウロスが痛みに怒りの声をあげてエルミーナの方に体を向けた。成功だ。倒れている少女への道ができた!
私は、ミノタウロスが気づかないようにそっと少女に近づくと、「クリーン」「ハイヒール」と唱えた。少女が目を覚ます。
「あれ、アタシ……」
「ここは奈落。落とされたのよ。今、彼女が魔物の気を引いてくれてる。」
そう言って、ミノタウロスと戦うエルミーナを指さす。
「っと、状況は掴めたわ。回復アリガト。ったくあいつらポーター扱いばっかりしやがって」
そういうと、少女は袋から、その袋に似つかわしくないサイズのハルバードを取りだした。
「支援ヨロシク。行っくぜー!」
身の丈ほどのハルバードを肩に軽々担いで、少女はミノタウロスに向かって行った。
まずは、今まで一人で耐えてくれてたエルミーナね。
右手で「ハイヒール」。
その間にあの子のバフもいれないと……。
左手で「筋力増加」「速度増加」「攻撃強化」。
「うわっすごい動ける!」
少女がぴょんと飛び上がると、ミノタウロスの脳天にハルバードをぶち当てる。切り裂くことはないが、脳震盪を起こしたのか、頭を押さえてフラフラしている。
「よし、いいぞ!動けなくなってる!」
エルミーナの目が勝利を確信したものになる。
「交互に首を狙うぞ!」
そう言ってエルミーナが首の左半分を切り。少女が反対側から勢いよくハルバードを首に向けて打ち付ける。
ずるり、とミノタウロスの首がずれ、首が落ち、体が倒れた。
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