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27.デイジーの受難

 俺は、Bランクパーティーの「疾風の剣」のリーダー、剣士のトオルだ。

 俺はある日突然、ポーターのデイジーが俺の運命の相手だって確信した。


 俺は今まで誰にも言えなかったが、『少女』が好きだった。

 穢れを知らない瞳、キメの細かいやわらかそうな肌。愛らしい高めの声。彼女たちは天使だ。

 でも、『彼女達』を暖かく見守るだけで、手を出したりしない。俺は紳士だからな。

 だから、ポーターをしているデイジーのことも、可愛いなあと思っていた。


 そうしたらある日、彼女が何かの話の中で、自分の年齢を言ったのだ。


 十八歳!


 成人じゃないか!恋人になってあれやこれも、合法じゃないか!

 だから、彼女に言ったのだ。「付き合ってくれ」と。

「お前だったら合法ロ〇だ!」と。

 俺は顔面を殴られ、断られた。


 可愛さ余って憎さ百倍。俺は思わずデイジーを奈落に突き落とした。




 ……ところが先日俺は、彼女が奈落から生還したとの噂を聞いたのだ!

 すぐにギルドに駆けつけたがデイジーは居なかった。


 ギルドのミリアちゃんに聞いたら、デイジーは俺たちの仕打ちを告発せずに、「誤って落ちた」と証言したらしい。

 なんて優しいんだ!やっぱり君は俺の天使だったんだ!

 俺を殴ったのも、照れ隠しだったんだね!

「デイジー!待っててくれ!」

 その日から、俺はデイジーを探し回った。


 あまりに毎日デイジーを探して稼ぎにも行かないから、そのうち仲間たちは俺から離れていった。だが、デイジー以外はどうでもよかった。


 ◆


 その日、アタシは一人で出かけることにした。

 リリーは孤児院で奉仕活動をしたいと言って行ってしまったし、エルはエルでご領主様の手伝いがあるとかで、王宮へ行ってしまったのだ。


 アタシはポニーテールにしているから、そこに結べるリボンを雑貨屋に買いに行こうと街に出た……が。


「デイジー!やっと見つけた!」

「げ。トオル……」


 トオルがアタシの元へと走ってくる。

「なんか用?」

「好きなんだ!付き合ってくれ!」

「はあああああああ?」


 こいつ、アタシは要らないって奈落に突き落としたよな?それでなんでまた『付き合ってくれ』になんねん?

 思考回路がわからず、むしろ気持ち悪く感じたので、不覚にも殴り損ねた。


「断ったの忘れたんかい!」

「照れなくていいよデイジー。素直に俺の気持ちを受け取ってくれ!」


 いや、マジで会話にならん。あかんわ、コイツ。

 困っとったら、警備員のおにーちゃんが二人連れで通りかかった。


「おや、デイジーさん。なにかお困りですか?」

「断ってもコイツ、付き合えってしつこいねん」

 そう言ってアタシはトオルを指さす。


「それは困りましたね」

 リリーが軍務卿のじーさんの孫娘ってことがわかってから、その下っ端部下の彼らもアタシらに気を配ってくれるようになった。


「一度連行しましょう。女性に迷惑をかけないよう叱っておきますよ」

 トオルは連行されて、詰所でお説教をくらったらしい。


 ◆


 勘違いな警備員に説教くらった俺だが、俺は反省などしていない。

 むしろ考えるべきは、デイジーはなぜ素直に俺の気持ちを受け取れないのかということだ。

 ……俺の真剣さが伝わってなかったんだろうか。

 今度は、女性に愛をこうに相応しく、花を持って行こう!


 ついにつきとめた、彼女の居場所、領主の屋敷の前に俺はやって来た。

「デイジー!結婚を前提に付き合ってくれ!」


 デイジーは出てきてはくれなかった。

 俺は屋敷の使用人に呼ばれた警備員に連行されて、反省房に二日入れられた上に、デイジーへの接近禁止命令をくらった。


 ◆


 接近禁止命令とはどういうことだろう。本当は愛し合っている二人を強制的に引き離そうというのか!

 俺はむしろ憤慨した。


 俺が考えるべきは、なぜデイジーは出てきてくれなかったのだろうかということだ。

 やはり、俺には真剣さが足らなかったのだろう。彼女はそれを見抜いていたに違いない!

 結婚を前提ではなく、結婚を申し込むべきだったんだ!

 俺は冒険者としての装備も全て質に入れて、ありったけの金で彼女のための指輪を買った。


 そして屋敷の前で叫んだ。

「デイジー!結婚してくれ!こうして指輪も持ってきたんだ!」


 デイジーは出てきてはくれなかった。

 俺はまたもや屋敷の使用人に呼ばれた警備員に連行されて、デイジーへの接近禁止命令を破ったということで、犯罪奴隷となった。末は鉱山奴隷か戦争行きか。


 ……俺は何をどう間違えたんだろう。

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

・面白かった

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