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21.ブロンベルク公爵家

伯爵→公爵に見直しました

 私たちが馬車をおりて、エルに案内されて玄関まで行くと、壮年の男性と女性、そして一人の青年が出迎えてくれた。

「ようこそいらっしゃいました。私はラインハルト・ブロンベルク。エルミーナの父です」

 そう言って、ニコニコと挨拶してくださった。わぁ、ご領主さまだよ!


「そして、こちらがエルミーナの母アンゼロットと、兄で嫡男のフレデリックだよ」

「「よろしくね」」

 にっこりと笑ってくださる、奥様とお兄さま。


 ご領主様とお兄さまは黒髪に黒曜石の瞳で、キリッと凛々しくエルミーナによく似ていた。ご兄妹とも、お父様似なのだろう。

 お母様は赤毛を上品にに一つにまとめており、瞳は琥珀色。エルミーナとは違って柔らかな雰囲気の綺麗な女性だった。


「まあまあ、ここで立ち話もなんですから、中へどうぞ」

 奥様が気を利かせて屋敷の中へと迎え入れてくださった。


「……エルって公爵令嬢だったんだ。驚いちゃった」

 応接間に行く間に、エルにコソッと話しかけた。

「冒険者の時は身分をあまり出していないからね」

「……こういうドッキリは勘弁やで……」

 全くだと思う。


 応接間に通されて、私たちは促されるがままにソファに腰を下ろす。すごく肌触りも座り心地もいい。部屋も全体的に明るめで温かみのある淡い橙色で統一されている。調度品もさりげなくいくつか飾られていて上品だ。


 そして皆が腰を下ろしたタイミングで、侍女さんがお茶とお菓子をテーブルに並べてくれた。


「ほんとにね、この半年気が気じゃなくてね。ギルドから連絡があって、『奈落』に落ちたなんて言われるからさ。そりゃあ、エルは高ランク冒険者だから、もしかしたら戻ってこれるんじゃないかと待っていたけれど……」

 口火を切ったのはお兄様のフレデリックさんだ。


「それなのにこの子ったら、さっき急にひょこっと帰ってきて、『ただいま』の一言なのよ」

 そう軽い愚痴を言いながらも、娘の生還に表情の明るい奥様。


「まあまあ、エルへの愚痴は置いといて。エルから、君たちと出会えたからこそ一緒に生き延びることが出来たと聞きました。娘の命を救ってくれてありがとう、心から感謝しているよ」

 ご領主さまがそう言って、ご家族三人が揃って頭を下げる。


「皆さま、頭を上げてくださいっ」

 私が慌てて言って、姿勢を戻してもらう。ご領主様御一家に頭なんて下げていただいてるなんて、庶民には居心地が悪すぎるよ!


 と、そこで名乗りすらまだだったことに気づいた。

「申し遅れました。私は、三人の中で後衛をしております、リリーと申します」

「私は、重戦士をしております、デイジーと申します」

 二人でやっと自己紹介をして頭を下げる。


「なんでも、三人で邪龍ファフニールを倒してきたんだって?うちの妹もだけど、女の子三人で倒しちゃうなんてすごいね!龍退治はどんな感じだったの?」

 フレデリックさんは若い男性だからか、龍殺しの話に興味津々のようだ。身を乗り出して聞いてくる。


「まず、リリーが氷結魔法で足止めをして、私たちアタッカーが翼を切り落とした。そうしたら龍が激怒して炎を口から吐き出してね。それをリリーが氷の壁でほとんど防ぎきったんだ。そして、龍の目に氷の杭を突き刺して失明させてくれたから、その隙に私とデイジーで首を落としたんだよ。これで満足?兄様」

「じゃあ、龍からの反撃は受けずに倒しちゃったのかい?」

「いや、翼を切る前にその衝撃波をくらって、私とデイジーは壁に打ち付けられたんだ。だけど、リリーがすぐに回復してくれたから問題なかったよ」


 ここで領主様が首を傾げる。

「おや、リリーさんは攻撃魔法だけじゃなくて回復もできるのかい?珍しいね」


「リリーは万能なんやで。回復師で、賢者で、聖女なんや!」

 自慢げにデイジーがばらしてしまった……。


「……それが本当だったら、すごい逸材だね」

 領主様の目付きが真剣なものに変わる。


「まあともあれ、娘の恩人を歓待したいから、しばらく我が家でのんびりして行ってください。幸い部屋も余っていることだしね」

 にっこり笑って、そう申し出てくださった。そして、侍女を呼び、私たちを客間へと案内させるのだった。


 ◆


 リリーたちの離席後。

「エル、デイジーさんが言っていた、リリーさんの能力は本当かい?」

「間違いありません。私の『鑑定』でも確認済みです」

 ふむ、と言って顎を撫でる父上。

「その事実はお前たち以外に誰が知っている?」

「ギルド長だけです」

 ふむ、と再度父上が頷く。


「彼女の実力が外に漏れた場合、貴族や教会、他国もこぞって彼女を欲しがるだろう。欲にまみれた者が彼女を手に入れようと不当な方法で手を出さないとも限らない。暫く、我が家に逗留させなさい。いいね」

「はい」

 ……もちろん私だってそれが心配でうちに連れてきたのだ。

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

・面白かった

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