02.エルミーナ
うっすらと目を開く。生きてる。
すると頭に、
【貴女はキャリアアップのスキルを手に入れました】
謎の声が頭の中に響いた。
衝撃のあまりに頭を打ったんだろうか、まずいかも。
そして身体。
「いったたた……」
うわコレまずい。動けない。っていうか、動こうと思うと手とか腕がズレる感じがする。絶対骨とか折れてる。
「クリーン」「ハイヒール」
自分で唱えて自分を回復する。体全身が光に包まれて、痛みが消えてゆく。
「あー酷い目にあった」
ゆっくり起きたかったが、はっと気を取り直す。
「ここ、奈落だ」
慌てて辺りを見渡し、敵が居ないか確認する。だが幸いこの部屋には魔物は居なかった。
中央を大きな柱で支える円形の白い部屋。そしてひとつ扉がある。
『奈落』と言うには不思議な不思議な部屋だった。
「誰かいるのか?」
澄んだ女性の声がした。
『柱の影?』
恐る恐る柱の反対側に回ると、一人の女性が倒れていた。
漆黒の真っ直ぐ伸びた長髪に、紫の瞳。良質のレザーっぽい防具で身を包んだ、細身で鍛えられたその身体は女性らしいラインを描いている。女の私から見てもキレイだよ。
「ぼーっとしていないで、出来たら中級ポーションか回復魔法をかけて貰えないだろうか」
うん、容姿に見とれてぼーっとしちゃったけど、この人の腕は変な方向に曲がってるし、あちこち血だらけだ。
「ごっゴメンなさい!今回復します!」
彼女に両方の手のひらを向けて、唱える。
「クリーン」「ハイヒール」
すると、彼女の体は光に包まれ体が綺麗に癒えていく。
「ありがとう、私はエルミーナ。剣士をしている」
「私はリリー、回復師をしています」
互いに自己紹介する。
「私は、パーティを追放されて、石橋から突き落とされたんだが、君は?」
「……私も同じです。聖女がパーティにいるから、下級職の私はもういらないって、落とされました」
「パーティメンバーの強制追放が流行っているとは聞いたが、これはひどいな」
「あ、あのっ」
なげかわしげに語る彼女の言葉を、私は制止する。
「どうした?」
「あの時、確か『ポーターなんかいらない!』って似たような別の騒ぎがあって……」
エルミーナが立ち上がる。
「この部屋に居ないということは、部屋の外に落ちたか。助けに行こうと思うが、支援をお願いできないか?」
奈落のモンスターなんてどれだけ強いんだろう。はっきり言ってすごく怖い。でも、助けなきゃって思った。
「うん、行こう!」
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