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19.ギルバートさんの受難

 ギルバートさんの案内で、面会室のローテーブル付きの向かい合ったソファに誘導される。皆が腰を下ろすと、リムルがタイミングよく紅茶を出してくれる。


「うわぁ、紅茶のいい香り……こんなのも久しぶりだぁ」

 良い香りに嬉しくなった私が、うっかり私が口をすべらす。

「焼き菓子もありますから、どうぞ」

 リムルが優しい笑顔で焼き菓子の皿を中央に用意してくれた。


 せっかくなので、遠慮なく紅茶を一口いただく。思わずほうっと溜め息が出た。焼き菓子も一口いただく。サクリとした感触と優しい甘さに頬が緩む。

「とっても美味しいです。ありがとうございます」

 ぺこりと頭を下げて二人にお礼を言う。


「お茶もお菓子も久しぶりでしょう。話し中、つまみながらでも構いませんよ」

 ギルバートさんは私たち三人を労わるように、一人づつ優しい目で目線を合わせた。


「では、本題に入ります。貴女方が元所属していたパーティーからは、貴女方自身が石橋から奈落へ誤って落ちたと事故報告を受けていますが、それは正しいですか?」

「「「はい」」」

 ギルバートさんの質問に、最初から用意しておいたとおり、揃って返事をした。

「わかりました。報告には問題がなかったということですね」

 ギルバートさんは手帳にメモをした。


「そうすると、あとは、未踏破エリアについてお話を伺いたいのですが、まず、ダンジョンボスは何でしたか?」

「邪龍ファフニールです」

 エルが答えると、ギルバートさんは「おお!それを討伐されたのか!」と感嘆の声をもらした。

「はい、まずリリーが氷結魔法で足止めをし、私とデイジーで翼と首を落としました」

「そうすると三人ともがドラゴンスレイヤー、残る御二方はSランク認定をしなければいけませんね」

 また、ギルバートさんは手帳にメモをした。


「リリーさんは回復師だったかと思いましたが、氷結魔法も使用可能なんですか?」

 ギルバートさんがこちらを向いて首を傾ける。

「はい、正確には、回復師と聖女と賢者が使用可能な魔法を扱うことができます」

「え……」

 ギルバートさんが驚きに目を見張る。それは当然だろう。普通そんな人間は存在しない。


「それについてはアタシやエルさんも、使ったことがあるのを見たと証言できまっせ、な?」

 そう言ってデイジーがエルに目線を向ける。デイジーと目を合わせると、エルはこくりとうなづいた。

「特殊なギフトのおかげで、複数の職業の技術を習得できるらしくて……」

 ギルバートさんは、私の説明を聞きながら紅茶を一口飲んで、動揺が顔に出ていたのを抑えた。

「なるほど……」


「そういえば、デイジーさんは、ポーターをされていたと思いましたが、重戦士に転向されたのですか?」

「あれは、あのボケパーティーがポーターしかやらせてくれんかっただけ!」

「なるほど」

 これには、そう言って苦笑するしか無かったようだ。


「あとは、半年間もダンジョンに籠っていたとなると……素材はどれくらいありますか?買い取りを希望されますよね?」

 それに対しては、デイジーが口を開けた。

「アタシがアイテムボックスで全部持ってきたから素材は大丈夫やで!ファフニール一体、フェンリル一万六千超、ケルベロス一万五千超、バシリスク一万三千超、キングベヒーモス一体、スレイプニル一体、ヒュドラ一体、サイクロプスの亜種一体、コカトリス三体……」

「いやいやいやいや、なんですかその単位は!ギルドじゃ買い取れませんよ。ご領主様でも無理でしょうし、これはもう、王宮に引き取りを依頼しますかね……」

 ギルバートさんはポケットからハンカチを取り出して汗を拭きだしてしまった。しかし、メモはきちんと取っている。


 そうだ、と思い出したようにエルが口を開く。

「ダンジョンの宝箱からエリクサー三本を入手したのですが、さすがにモノがモノなので、国王陛下に献上させていただきたいのですが……」


「それも含めて打診しましょうか」

 またメモをとって、ギルバートさんはため息をついた。

下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)


駆け出し作家の身ではありますが、すこしでも

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