18.地上
伯爵→公爵に見直しました
今私たちは一階の転送魔法陣の前に、三人揃って立っている。これに乗れば、久しぶりの地上だ!
「みんな、一緒にいくよ!」
私の掛け声に、二人がうなづく。私は、二人の手を取った。すると、エルとデイジーも手を繋ぐ。
「「「せーの!」」」
「まっぶしー!」
地上に戻った私の最初の一言は、これだった。太陽が眩しく、暖かい。大きく腕を広げて受け止める。
「空気が美味しいな」
隣でエルが深呼吸している。
「はー、草の青い匂い」
こてんと大の字に草むらの上にねそべるデイジー。
三人三様に地上に存在するものの感触を味わう。
「「「帰ってきた……」」」
……三人が揃って呟いた。
◆
「まずはギルドに行って生存報告が必要だろう」
エルの意見ももっともだ、ということで、ハルムのギルドへ行くことになった。
ここハルムの街は、ヒルデンブルク王国の王都の隣にある迷宮都市だ。冒険者の街となると荒くれ者が多かったりと治安が悪くなりがちだが、ここは領主のブロンベルク公爵さまが治めていらっしゃって、治安もよく、とても住みやすい。
街を歩いていると、通り過ぎる人の視線が私たちに向けられる。
「……なあ、あれSランクのエルミーナじゃなかったっけ?」
「アイツ奈落に落ちたんじゃなかったのか?」
「……はあ、相変わらず長い黒髪なびかせて歩かれるお姿が美しい……」
なんだか最後に変な言葉が聞こえたが、エルって有名なSランク冒険者だったらしい。
ほえーっと尊敬と憧れの眼差しでエルの横顔を眺めてしまう。
その視線に気づいたエルに「ん?どうした?」と聞かれてしまった。
首をプルプル振って、「なんでもないよっ」と誤魔化した。
懐かしい街並みを眺めて歩いていると、ギルドの前についた。
ギルドの看板も懐かしい。
よくある、ギルドと酒場がセットになった造りの建物で、今日もひと仕事終えて酒場でたむろしている冒険者で賑わっていた。
そこへ、エル、私、デイジーの順でギルドに入っていく。
「エルミーナさん、リリーさん、デイジーさん!生きてらしたんですか!!」
受付のリムルさんが驚いて私たちの元に駆け寄ってくる。
そしてその声に、ギルド内にいる冒険者たちもいっせいにこちらに視線を向ける。
「確か奈落に落ちたって言う……」
「え?じゃあ、あの未踏破ダンジョンクリアして生きて帰って来たって訳!?」
「いや、いくらなんでも奈落から生還って不可能だろ……」
「生還者っていないよな!?」
「奈落に誤って落ちたって聞いていて……帰ってこれたんですね。良かったです!」
興奮するリムルに、エルが質問する。
「あれからどれくらい経ってますか?」
「……半年です」
私たちは半年もあのダンジョンにこもっていたらしい。
「ギルド長に報告しないと!」
リムルが奥の方へ駆けて行った。
しばらくして、奥からリムルと一人の壮年の男性がやってきた。
「私はハルムのギルド長をしているギルバートと申します。ここではなんですから、こちらへどうぞ」
私たちは奥の面会室へ通された。
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