11.再び戦利品の分配とレベリング
私たちは安全な白い部屋に戻ってきた。
「分配しましょっか?……って言っても、持ち主決まったようなもんだけどな」
そう言いながらデイジーはアイテムボックスから戦利品を取りだし、それぞれに渡す。
私には、「魔術を統べるもののローブ」と「守りの指輪」。
エルには、「剣の女帝の皮鎧」と「守りの指輪」。
デイジー本人には、「首狩り公の戦斧」と「守りの指輪」。
もちろん皆、この分配で文句はない……というか、私達のために置いた?ってくらい、ドンピシャな戦利品ばかりだ。早速私とエルは着替えることにした。
エルは、深紅の皮のボディースーツに、同じ素材のスリットの入った膝丈のスカートが付いた皮鎧だ。彼女の長い黒髪に、深紅が映えて美しい。相変わらずボディラインも完璧だ。
そして私のローブは、深紫色のとても軽い生地で仕立てあげられたローブだ。袖、裾、胸周りと体の中心線沿って銀糸の刺繍が入っていて美しい。
うわぁー、こんな上品なローブ、私に似合っているんだろうか?と不安になってエルとデイジーを交互に見たら、「「似合う」」と二人とも親指を立ててくれた。
◆
「それでだ」
エルが話を切り出し、三人で円を描いて座る。
「『グラム』があったということは、ここのフロアボスは竜、しかも『ファフニール』である可能性が高い。まだ私たちが相手にするには厳しいと思うんだ。それでしばらく、レベリングをしようと思うが、いいだろうか」
みな頷く。
「そこで、装備が整って戦力も上がった今、モンスター部屋は、一人一部屋で攻略可能だと思うんだ。リリーはバジリスク部屋、デイジーがフェンリル部屋、私がケルベロス部屋。ひとまずこれで割当てようと思うがいいかな?」
皆異論はない。
◆
その日から、各モンスター部屋でのレベリングが始まった。倒すだけじゃなくて、素材の回収もしなきゃいけないデイジーは相当忙しそうだった。
そうして、何日たったか忘れた頃、エルとデイジーは武器を振るった衝撃波一回でモンスターを全滅させることができるようになった。もちろん私も範囲魔法でも初期魔法を多重起動してでも殲滅できるようになった。
……みんな揃って、ボス部屋に行く頃合いだと思った。