連鎖する
「リンドウ!遅いよーー!!」
「ヒマワリが寝坊したから」
「しょうがないじゃーん!リラおじちゃまの漫画が面白過ぎるのが悪い!」
ドタバタと足音を立てて階段を降りる二人。
「おはよう!お父様、お母様、アレン」
「おはよう」
『今日も今日とて、元気だのぅ』
「おはよう、二人とも。夜更かししたの?」
「ヒマワリ、お肌に悪いぞ?」
「もうっ、お父様ったら!レディにそんな事言わないでっ」
「ヒマワリが夜明るくするから眠れなかった」
「あ、リンドウずるい!」
「本当の事だもん」
「ふふ、それくらいにしなさい。今日は大事な日だよ、二人とも」
「「知ってる!」」
「「『10歳のお誕生日おめでとう』」」
「ありがとう、皆!」
「ご飯、美味しそう」
私達の子どもは10歳になった。
双子の男の子と女の子だ。
二人とも黒い髪が艶々としている。
リンドウは青紫色の瞳を持つゲイルにそっくりな男の子。ゲイルの小さい頃を見ている様な感覚になり、いきなり抱き締めると物凄く嫌がる。ママ、悲しい。
女の子がヒマワリ。
ゲイルと同じ瑠璃色の瞳を持ち、活発で正直者。
可愛いのにちょっとやんちゃなのが玉に瑕なのだ。
可愛いから良いんだけれど。
今年、ミレーヌの学園に入り二人とも属性は判明している。
リンドウが光属性、ヒマワリが水属性だ。
だが、私達の子どもである。
普通で有る筈も無く、二人とも魔力量も素質も桁外れだ。
どうなっていくのか楽しみになる。
「よし、二人とも10歳の抱負をどうぞ!」
「僕は光属性だから、ダチュラ様に師事して頑張る」
「おぉ~流石、リンドウ!スカルフなら安心だね!
ヒマワリは?」
「私?私はね~………
アレンのお嫁さんになる!」
「「『は?』」」
「何で揃うの?私、アレンのお嫁さんになるの」
耳を疑ったかと思ったが、どうやら本当に言っていた。
『…ヒマワリ、我はお主とは夫婦には成れぬぞ?』
「どうして?クラークのおじちゃまは人間とのハーフだし、人間と結婚したんでしょ?」
『そうじゃが…』
「私、アレンが良いの。きっとこの先もアレンしか居ないわ」
『お主はまだ若い。今だけの感情さな』
「分からないじゃない。私が子どもだからそんな事言うんでしょ?
じゃあ、18歳になって同じ事言ってたらその時は考えてくれる?」
『くく、面白い。その時は考えてやろう』
「アレン!」
『ゲイル、ヒマワリは真っ直ぐな奴よの。
我との事は、そのうち分かる』
「それもそうだが…」
『子どもの夢は見守ってやろうではないか』
「私もそう思うわ、ゲイル。
それに、アレンならヒマワリをお願いしやすいしね♪」
「僕は賛成だよ。アレンとずっと一緒に居られる」
「マリー…、リンドウまで…」
「流石、お母様と私の片割れ!」
「お父様は心配だ」
「ふふふ、お父様もだーい好きよ?拗ねないで」
「拗ねてなどいない」
「ゲイルったら、寂しいのね?ギューしよ!」
「私も!」「僕もする」
そう言って皆でゲイルをギューした。
いつか来る巣立ちの日を思い、寂しくなってしまったのだろう。
私達はこの時、まさかヒマワリが18歳までこの想いを持ち続ける事とは思っていなかった。
幸せの連鎖は続いている。
これにて番外編ストックも終わりました。
思い付きでまた増やすかもしれません。
 




