番外編 失う怖さ
結婚式から少し後のお話
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今日はとても良い天気だ。
良い天気過ぎて、少し暑い。
そんな日はインドアに限るが、デートの約束をしていたのでゲイルと私は本でも読みに行こうとミレーヌ大図書館へ向かった。
「こんにちは~クラークさん!」
「あぁ、マリーちゃん。ゲイル君も来てくれたのか、ありがとう」
「こんにちは」
「あれ、クラークさん何だか元気無い…?それに、酷い隈だよ?」
「おっと…、バレちゃったか。ちょいと、連れが旅立ってな」
「奥様が…?」
「もう、歳だったからな。
出会ったのが遅かったから、子どもも居ない。
ここんとこずっと伏せって居たんだが、ついにいっちまった。
契約も切れてしまってな。繋がりが無くなる事がこんなに寂しいなんて、思わなかったさ。
だけど、ここに残る事にしたよ。
ここは、アレと過ごした掛け替えの無い場所だからな」
そう言うと、クラークさんは持っていた本を撫でた。
まるで、そこに愛しい人が居るかの様に。
「おいおい、2人して辛気臭い顔しないでくれ。
話した俺も悪かったがな、大往生だったんだぜ?
2人まで悲しませたらアイツに叱られる」
本を撫でた後、此方を見たクラークさんは笑いながら私達をガシガシと撫でる。
自分達が悲しむとクラークさんを困らせる事は分かったのだが、それでも顔を変えることが出来ずにいた。
何も出来ない自分がもどかしくて
心ばかりのハンドマッサージをしたら、クラークさんは眠ってしまった。
本当に眠れて居なかったのだろう。
魔力も多めに入れておいた。
ぐっすりと眠るクラークさんを見て、胸が痛む。
大図書館の看板を休館にして、その様にした事をメモに書いて置いておいた。
1人だと考えてしまうもの。
仕事、していたいよね。
私にも経験が有るのだ、分かってしまう。
座ったまま眠ってしまったので、直ぐに起きてしまうかもしれないが、少しでも休めたら良いなと思った。
ゲイルは私を見て頭を撫でたが、本人も辛そうな顔をしている。
2人して余り会話も出来ずに、とぼとぼと家に帰った。
『お、帰ったかの?ん?
どうした、2人してそんな顔をして』
アレンはいつもの定位置から顔を上げて、私達を少し驚いた顔で見ている。
私はアレンに駆け寄り、抱き締めた。
『…何かあったのかえ?』
やはり少しひんやりとしているが温かい、アレン。
ゲイルも私と同じ気持ちなのだろう。
私ごとアレンを抱き締めた。
『やや、珍しい事も有るもんだのぅ……。
世話の焼ける奴等よ』
アレンは私達に好きにさせて、クツクツと笑う
この愛しい時間が永遠に続けば良い、そう思った。




