リラの希望
「ふふふ、貴方とても面白いのね」
「いやいやいや!ファミーユ様、まだまだ有りますよ!」
後から来たスカルフの身体確認が済み、アンバート家の皆さんの前でカレン嬢の魔力供給を行なう。
カレン嬢は疲れているのか少しうとうととしてるから皆さんと前の世界の話しをしていた。
関西人だけじゃ無いかもやけど、静寂程辛い物は無いのだ。
ついでに今は家電の話をしている。
前の世界の家電の話はウケると思ってたが大ウケだ。
各属性毎に当て嵌る家電を言っていくだけなのだが、この世界には無いような物を出している。
3人ともそんな物が有るのか?と言う驚きと少し砕けて話している関西弁の珍しさに興味津々の様である。
「ねえ、リラ君。貴方、カレンの婚約者にならない?」
「へ!?」
驚いた。まさかの親御さんからのお願いに開いた口が塞がらない。
「お、お母様何を言い出すのですか」
寝そうになっていたカレン嬢まで起きてしまった。
「ふふふ、いくらアンズ様が改心したとはいえルーチェ様の様にならないとは限らないものよ。
闇属性同士でライラックの坊やにお願いする事は多少考えてはいたのよ?
だけどね、まだ私達はあの時の事を覚えているの。
性格面でも難が有り過ぎたのも有るけれど、ライラックの坊やにはカレンは任せられ無かったわ。だから、弾いた。
でも、貴方なら任せても良いわ」
俺はバッと腰を折る。
「ライラックの頃より、カレン嬢をお慕い申しておりました。
あの時の事は私より謝らせて下さい。
大変申し訳御座いません。
是非とも此方からもお嬢様との婚約をお願いしたい所存です」
好機だと思った。
カレン嬢には悪いけど、ここは攻めさせて貰う。
「…あら、好きな子程虐めたくなる。というやつなのかしら?ねぇ、カレン?」
「…お母様。ライラック先生は実は色々と私の為にしようとしてくれていたらしいの。何も出来なかったから嘆いていたのだと、リラが教えてくれたわ。
それに…私、リラなら良いの。
エディの事が駄目で婚約者が決まらなければ貰ってって約束していたのよ。エディへの気持ちはもう、無くなったわ」
そう言ってカレン嬢は笑う。
強い人だ。16になったばかりだというのに。
エディへの気持ちも嘘じゃ無いようで、少し安心する自分が居て
狡い人間だな、と思った。
でも、それ程に彼女に惹かれる自分は
嫌いじゃない。
大人の階段を昇る彼女を見届けるのは
幸せな事だ。
「ライラックと共に、彼女を愛する事を誓います」