リラの奮闘
入ったら状況は最悪やった。
スカルフが光の最高位精霊に乗っ取られてた。
カレン嬢は腹を抱えて浅い息をしている。
マリーちゃんはそれを何とかしようと魔力供給を行っている所やった。
ゲイル達でスカルフに攻撃が出来ない為に防御をしていたらしいのだが、攻撃の手が多過ぎて埒があかんかったらしい。
とりあえず、エディが来たのでそちらは何とかなる。と踏んで防御しつつ、カレン嬢を助ける事にした。
マリーちゃんと交代してカレン嬢に励ましつつ、魔力を送る。
マリーちゃんには同時進行で治癒をお願いした。した事が無いと言っていたのが嘘かのようにカレン嬢の呼吸は落ち着いて来た。
だが、魔力は枯渇の一途を辿っている。
それは、ブラックホールの中に魔力を送っているような感覚。
グングンと吸い取られていく魔力。
いつ来るか分からない攻撃に防御壁を解く訳にはいかんし冷や汗もんやった。
よう、こんなんでずっと魔力送り続けられたなマリーちゃん。神かよ。
正直、キツい。
『手伝おうか?』
『…ライラック?』
俺とライラックは心で会話をする。
深い眠りから醒めた彼の事が感覚で分かり、問い掛ける。
『カレン嬢を助けたいんだろ』
『助けたい。ライラックも一緒にやってくれるんか?』
『ふふ、彼女はお気に入りだからね』
『嘘つけ、普通に好きやったくせに』
『君と僕は一緒だからね。彼女に惹かれるのは必然だよね』
『ははっ、成程な。やからこんなにも惹かれるんか』
『そうだよ。君と僕が融合すれば、僕の力全部手に入るよ。少し、取って置いたんだ』
『そうやったんか?でも、それやったらお前…』
『…良いんだ。
君と一緒の日々はとても温かかったよ。
今までありがとう、リラ』
ドクンッ
血が流れるように魔力が循環するのが分かる
今まで感じた事ない様な強い魔力
嘘つけ、いっぱい残してたんやんけ。
てか、あの時カレン嬢何歳やねんな。
阿呆が…
ライラックが融合した事が分かる。
そんな不器用な奴の代わりにもカレン嬢に絶え間無く魔力を送る。
「よしっ!決めた!スカルフごめん!」
その声が聞こえてくると状況が一転した。
********
別室にてカレン嬢の魔力供給が行われる事になった。
部屋に入ると、刃が喉元に有った。
いや、もうちょいで1歩踏み出す所でしたよ?
「カレンに魔力供給して頂き、感謝する。
だが、君は何者だ?」
そう問うのはアンバート家1番目の兄、現アンバート侯爵のエルフィング。
そして、剣の切っ先を向けるのは2番目の兄騎士団に所属する若手のホープ、マグオット。
2人共ピリピリとしていて風属性特有の鎌鼬の様な物が肌を切る。
え、何なんこの状況。
あ、バリバリ関西弁のままやったわ。
「お兄様達、お止め下さい。その方は悪い方では御座いません」
「エル、マギー。カレンがこう言っています、お止めなさい。
ですが、貴方はライラックの坊やの見た目をした誰なのかしら?
最近何だか柔らかくなったとはお聞きしているけれど、私が知っている貴方とは別人の様だったわ」
「お初にお目に掛かります。
私はライラックで有り、ライラックでは御座いません。
元々マリー嬢と同じ世界に生きていた転生者で御座います。
今はライラックと融合していますが、人格は全く別物と思って頂ければ幸いです」
「ふふ、本当に敬語だと訛りが消えるのね。
お母様、お兄様方。本当よ?
ゲイルやマリー達と一緒に仲良くしていたの。
きっと、皆も彼を知っているわ。
【リラ】というのよ?」
「え?もしかして、【漫画】を作った【リラ】!?」
俺の名前を聞いた途端にマグオットが剣を下ろし納刀して驚いている。
「恥ずかしながら、その【リラ】で御座います」
「わー!!剣向けてごめんね?
確かにあんな物生み出せるなんて、異世界から来た人間だけだよね!
俺、あれ凄く好きなんだよね!」
「そうだったのか。それは、失礼をした」
兄2人は口々に謝っては、握手を求めてくれる。
なんと、カレン嬢がパラパラ漫画を布教してくれていたらしい。
むず痒いが、嬉しい瞬間。
早く次を描かねば。
認めて貰えないと、勝手に思い込み
苦しんでいた日々が嘘のようだ。




