番外編 カレンの婚約者
「カレンさん、調子はどうですか?」
「えぇ、良好よ」
彼はスカルフ=ダチュラ。
私の婚約者になる予定だったのだが、光の最高位精霊の件により自ら辞退を申し出てくれた。
今はこうして何日か置きに様子を見に来てくれる。
「良かった。順調の様ですね。
では、これにて失礼します。
…カレン嬢、今日は他にもお客様が居るみたいですよ?」
そう言うと、部屋の外に居たエディを中に押し込め扉を少し開けて彼は出て行った。
「よ、よう。カレン」
「久しぶりね、エディ。あの時は助けてくれてありがとう」
「良いんだ。俺は余り役に立てなかったしな」
「そんな事無いわ、貴方が居ないと皆殺られていたもの」
「アンズ様は?」
「精霊界で治療を受けているの。あちらも魔力供給が終わり、もうすぐしたらまた戻ってくるってアレン様が教えてくれたわ」
「そうか」
「…」
「…」
話す事が無くなったのかエディは落ち着かない様子だ。
「…今日は何の御用なの?」
「えっと…、今日来たのは…だな、」
「何?早く言って?」
中々口を割らないエディに、少しイラッとしてしまう。
「…カレンは、リラの事どう思ってんだ?」
「は?」
あの時、エディとリラは一緒に居たらしく
何故かエディはライラックは別人格になっていると知っている事が判明して、術を解き素で話していたのだと言っていた。
そして、そのままこちらに来てしまったらしい。
魔力供給を行うライラックの余りの変わり様にお母様始め、お兄様方は驚愕してしまい説明する羽目になった。
性格面で省かれていたライラックがリラに変わった事で、皆がリラを気に入りリラと婚約を結ぶ事になったのだ。
「リラはとても素敵な人よ。…それに私、リラともっと一緒に居たいと思うようになったわ。夫婦になるのに変よね?」
そう、毎日毎日リラは魔力供給だけの為に私の元を訪れては私の心を癒してくれた。
沢山、漫画の話をしてくれたり
ライラック先生の今の状況を聞いたり
とても楽しかった。
「そうか!それは、良かった!
俺、カレンの気持ち…全然気付けなくてごめんな」
私は、ぱちくりと目を瞬かせる。
まさか、エディからそんな事を言われるだなんて驚きだ。
「あら…リラね。全く、お節介なんだから」
そう言って、クスクスと笑う。
エディはまるで子犬にでもなったかの様に気を落としている。
「私、貴方の事が好きだったわ。
でもね、それは貴方に恋する私が好きだっただけかもしれないの。
貴方を好きだった事は嘘では無いけれど、今はとても晴々としているのよ?
だからね、エディ。
貴方は、貴方の素敵な人を見付けてね」
心からの本心だ。
初恋はとても苦かったけれど、エディにはこのままでいて欲しい。
「あぁ、ありがとうカレン!
リラならカレンを任せても大丈夫だな!」
そう言うとエディは私の頭を豪快に撫でる。
「ちょい、ちょい。ウチのお嫁さんに気安く触らんといてや」
扉の方を見るとティーセットを持ったリラが物凄い形相でこちらを見ていた。
「おっと!撫でるのも駄目だったか?ごめんな、カレン!
じゃあ、またな!」
「暫く来んでええで~!」
エディは言いたい事が言い終わったのだろう、颯爽と部屋から出て行ってしまった。
「ったく、彼奴はほんまに能天気な奴やな…」
「リラ、何処から聞いてたの?」
ガッシャン
「だ、大丈夫?」
リラは力加減を間違えたのかティーセットが乗ったトレイを強めに置いてしまった。
私とは真逆の方向に顔を背けて居たので
回り込み、覗くと真っ赤な顔をしたリラが居た。
「ま、まさか…結構前から居たのね?」
手で顔を半分隠してコクと頷くリラを見て、羞恥心が湧き上がってくる。
完全に聞かれている。
リラは深呼吸して、優しく私の右手を取った。
「カレン、もう婚約者やけど言わせて?
俺と夫婦になって下さい」
「ふふ、ありがとう。こちらこそ、宜しくお願い致します」
「わーーーー緊張した!真面目な顔とか出来へんもん、恥ずかしい!
好き!」
そう言ってリラはギューギュー私を抱き締める。
「く、苦しいわリラ」
「嫌や。だって両想いやで?
ついでに子どもは何人にする??」
「ちょっ!!馬鹿!!」
いきなり話が飛んだリラをバシバシと叩いたが、いつの間にか抱き上げられてさらに強く抱き締められていた。
好きと言えるまで、もう少し待っていてね
まさかのリラ男




