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「遅いぞ、馬鹿!」
ゲイルはいつもの余裕等、何処かに置いてきたかのように叫ぶ。
未だに何個も、何重にも防護壁を作り出し展開し続けているのだ。多少口が悪くなっても、しょうがない。
「ごめん!どういう状況?」
「スカルフが光の最高位精霊に乗っ取られた」
「了解」
2人はそれだけで通じ合ったのだろう。
歴戦による賜物だ。
ルーチェの光の手の攻撃をエディはバサバサと剣で切り倒す。これはエディの剣でしか出来ない事だ。
特殊な場所で特殊な製法で作られた剣。細部までどんなのか覚えて無いけど、とにかく凄いのだ。
「『ちっ、厄介なのが来たね。無効の剣か』」
それそれ。
エディは大剣を軽々と振るっている。
その剣は荒々しく、だが正確である。
「後ろにご注意やで!!」
目に見えるいっぱいが魔法陣で埋まる。
それは、私とカレンを囲む様にドームの様になっていて
いつの間にかすぐ側まで来ていた攻撃の手を防いでくれていた。
「リラ!」
「主役は後から登場や♪
っていうのは冗談で…、遅れてごめんやで!
ちょいと野暮用でな…。
エディ!この阿呆!
なんで窓から行くんや!扉からちゃんと入らんかい!ド阿呆!」
「ごめん!」
「うるさい!前見ろ!」
流石は主人公とライバル役の2人だ。
息ピッタリで攻撃と防御の役割分担をしている。
ゲイルも居るのだ。何だか負ける気がしないが、スカルフが人質な為に直接攻撃が出来ない。
「マリーちゃん、魔力供給してくれててんな。代わるわ、俺は闇同士やから相性が良い。マリーちゃんの魔力やと下手したら光の精霊の彼奴に取られ易い可能性も有るんや。
そこでや、カレン嬢の痛みだけを取る事は出来るか?」
「ありがとう、私の魔力じゃ供給限界だったの!そっちは、分かんないけどやってみる!」
「OK!異世界人の意地見せたろや!」
「任せて!」
私とリラは選手交代のハイタッチをして、先程の体勢のまま痛みを和らげる様に念じた。
上手く…いっていれば良いのだが。
「カレン嬢、ちょっと触るな?」
リラはとても優しい声でカレンの両手を握り魔力を送る。
魔法陣を展開したまま、魔力供給を行えるとはなんて魔力量だろうか。
「絶対、絶対助ける。負けんな、頑張れ」
意識が朦朧としているカレンにリラは励まし続ける。
「よしっ!決めた!スカルフごめん!」
そんな大声が聞こえてきたかと思い、集中しつつもエディの方を見ると
スカルフが宙を舞っていた。
すると、何かがスカルフから飛び出る様に出てきた。
眩くて見えにくいがとても美しい少年だ。
『いってぇえ!!!てめぇ何すんだよ!!』
しかも、豹変した。
アレンはその隙に、すかさずその少年の脚を氷で固めた。
『うわ!アレンまで!何するんだ!』
『ルーチェ!いい加減にせんか!貴様が精霊界の頂点とは世も末よ!』
アレンは絶対零度の眼差しで氷柱をそこら辺に落とし檻を作り、怒り心頭である。
ゲイルは緩まった隙にアンズの救出を試みている。
『ちょっと!僕のアンズだよ!?許さない!』
ルーチェはアンズを触れそうなゲイルに光の矢の様な物を放った
「ゲイル!危ない!」




