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「と、まぁこんな感じ」
私はあんな事が有ったので、今自主的に引き篭っています。
今日はゲイルが面接に行く日でアレンも付いていくので家を空けるから、と代わりにカレンがやって来てくれている。
ライラックの一件をサラッと説明し終わった所だ。
「貴女達まだ恋人同士では無いのよね?」
カレンは物凄く怪訝な顔で私に問う。
「はい…、残念ながら」
「はぁ…。ゲイルが慎重過ぎる気がしてきたわ…。
それに、ライラック先生が人攫いだなんて…あの人なら興味を持ったら、するわね」
「ですよね~」
転生者の事は話しては居ないが、エディが私の事を話し興味を持たれたと掻い摘んで話した。
「僕の話?」
「ライラック!?」
「ふふふ、ゲイルが居ると思っていたんだけど好都合だな」
まさかのライラック。
しかも前回とは違い、玄関から入って来た。
カレンは私の前に立ちはだかり、ライラックを威嚇している。
「アンバート嬢、大丈夫だよ。何もしないから」
ライラックは優雅にカレンが座っていた椅子にニコニコしながら座った。
確かに来るなら家へとは言ったが、連絡を入れたりとかしようよ。
そういえば、言ってなかったわ。
いや、せめて呼鈴鳴らせよ。
「ライラック先生…。いや…、貴方は誰ですか?」
「おや?ゲイルは気付かなかったのにね。流石、闇属性同士だね♪」
パチパチとカレンの周りに電流の様なものが走っている。
警戒レベルを高めているのだろう。
「…本当に何もしないよ。僕は【ライラック】である事に変わりない」
「カレン、本当よ。心配無いわ」
私が諌めるとカレンは渋々私の隣に座ったが、警戒は緩めていない。
「アンバート嬢には説明していないのかな?」
「同類である事以外は話しました」
「成程。アンバート嬢、信じて貰えないかもしれないけど僕は転生者だ。そこに居るマリーと同じ世界に居て、短い生涯を終えて此方に転生した」
「…転生者?それで何故幻覚…いや、幻聴かしら?を、常時発動しているの?」
「…凄いね。それも分かるの?
僕と【ライラック】は余りにも口調が違い過ぎるんだ。だから微調整している」
「口調が?」
ライラックが一瞬目を閉じると、何かが弾けたような感覚になった。
「ほら、ちょっと訛ってるねん」
ギョッとしてしまった。
聞き馴染みのある西の言葉だ。
「こんなん、流石に変やと思われるやろ?」
そう言ってライラックは眉を下げてニッと笑った。
「そうだね、それは変」
つい、納得してしまった。ライラックが関西弁だなんてイメージ全然無い。
まして、ニッと笑うなんて有り得ない。
カレンは唖然としている。
そりゃあ初めて聞くイントネーションに、自分が知ってるライラックとは別人格というWコンボだ。
「大変やねんで~コレ、常時発動してんの中々キツいねんから」
ライラックにしては明るく感じるなと思っていたが、関西弁になると本当に別人過ぎる。
「標準語は全く?」
「いやいや、関西人に標準語喋れーって言うたらずっと敬語なるって!」
「あ~それは、大変…なのかな?」
「どっちもしんどい。だから、力に頼る事にしてん」
「成程」
「なんだか気が抜けるわ…。転生者、というのは本当なのね」
「そうそう!分かって貰えた?あ~、肩凝った」




