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「おかえり、マリー」
カレンと楽しく遊んで、さようならを言って帰ると
ゲイルがオーブンの前に立っていた。
「ただいま!試験の結果どうだった?」
ついに、ゲイルの教師免許の試験の結果が出る日だったのだ。
第一声にその事を告げると、ゲイルが部屋に戻り1枚の紙を持って来た。
「合格だ」
そう言って、嬉しそうに合格通知を広げている。
私は飛び跳ねて、喜んだ。
「やったー!自信あるって言ってたもんね?今日はお祝いだね!実はお酒を買ってきましたーー!」
割れないように飛び跳ねる前に下に置いていたワインを取り出し、ゲイルにプレゼントする。
こちらでは16歳からお酒を飲んでも良いので、私もセーフなのである。
そして実は今日、私の誕生日なのだが別に知らせるつもりは無い。
こちらに来て初めての誕生日が嬉しい日になって良かった。
「ありがとう…無事に通って良かった。
後は就職先だ。ミレーヌと王都の学園に面接に行く予定だ」
「そっか…いよいよゲイルが先生になるんだね」
並べられる料理はとても豪華だった。
まるでフルコースのようなそれにゴクリと喉が鳴る。
「あぁ、マリー。誕生日おめでとう」
ゲイルはそう告げると、1冊の本を手渡してくれた。
「え?え、え?」
「開けてみて」
何故知っているのか焦っていると、ゲイルが微笑みながらその本を指差す。
恐る恐る、その本を開く。
最初は何か分からずに何ページか捲った。
「…!!これ!」
「これが漫画という物なんだろう?」
それは恐らく、パラパラ漫画と呼ばれる様な物だった。
言葉や、音になるような文字は無いが捲る度に動く少年が攫われたお姫様を追いかけ、魔物のような物を倒して最後は剣を上に掲げてお姫様とハッピーエンドといった物語になっている。
アニメーションに近い、漫画だ。
「そ…そうだよ、これ漫画だ…」
嬉し過ぎて、何度か捲ってその本を胸に抱いた。
「ありがとう、ゲイル。とっても嬉しい…。でも、どうして私の誕生日を知っているの?」
「ん?ギルドでの登録の時に受付で言っていたじゃないか?」
「え!?あんな前に!しかも聞いただけなのに…覚えていてくれたの?」
「あぁ、記憶力は良い方なんだ。こちらに来てから初めての誕生日だろ、何かしてやりたかったんだ」
「ありがとう…とっても、とっても大事にするね!!」
「喜んで貰えて良かった」
『マリー、我からもプレゼントじゃ』
「アレン?」
アレンは何時もの定位置からゆっくりと起き上がり、息をフッと出した。
それはキラキラと舞い上がり、私にフワッと何かが纏わった気がした。
『我からは、【祝福】じゃ』
「祝福?」
『我は水の最高位精霊。故に、我からの祝福は水の精霊に愛される者となる。我や、ゲイルが傍に居ない危険な時、もしもの時は頼れば良い』
「えぇ!!?アレン最高位精霊なの!?」
高い位の精霊と言う事は何となく分かっていたのだが、まさかの最高位精霊が身近に居たとは。
そりゃあ、ゲイルが他の精霊に押し潰されずに済んでいるはずだ。
私は酷く驚いたのだが、ゲイルも驚いている。
『くくく、ゲイルにも伝えた事は無かったの。
精霊に好かれ易いお主には祝福など必要では無いからな。
伝える必要が無かったのだ、秘密にしたつもりは無いぞ』
「いや、何となくそうかなとは思っていたが…」
『最高位なだけで他と何ら変わらんがの』
「それは多分、アレンだけがそう思ってるよ」
『そうかの?』
アレンはいつものようにクツクツ笑う。
「ありがとう、アレン」
アレンにまでプレゼントを貰ってしまった。
抱き着いて、気持ちばかりの魔力を送る。
『…ほんに、心地良いの』




