52 ※ゲイルside
どういう事だろう。
朝起きると手が温かい事に気付き見てみると、そこにはスヤスヤと寝息を立てているマリーが居るでは無いか。
十分近いが、遠慮しているかのようにそんなに広くないベッドの端でマリーが寝ている。
状況が掴めず、バッと起き上がってしまって"しまった"と思ったが、マリーはまだ起きる気配はない。
昨日、マリーにマッサージをして貰ってから記憶が曖昧である。
酷く眠かったのだ。
つい先日自分の気持ちに気が付いてしまい、余り眠れていなかった。
手はがっしり掴まれていて取れない。
なんだ、この状況は…
マリーが可愛過ぎやしないか?
無防備なその寝顔を、少しの間眺めてしまう。
このままだと変な気を起こしてしまいそうだ。
マリーの手を指先で擦りながら困り果てていると、マリーがモゾモゾ動き出した。
「ん……あ、あれ…ここ…は……げ、ゲイル!おはよう!」
マリーはどうやら直ぐに状況を判断したらしい、顔を真っ赤にしてベッドから飛び起きた。
「そ、その!ゲイルが…、眠そうにしててっ!連れて来たんだけど…手が離れなくて仕方なく…。
て、天に誓って何もしていません!」
少し寂しくなってしまった手を見ている事に気付いたマリーが弁解している。
まるでマリーが手を出したんじゃないかと俺が疑っているような口振りだが、思っていないぞ。
それより、衝撃的な事実が判明してしまった。
俺が離さなかったらしい。
「なっ!そ、それは申し訳ない…」
「いいよ、いいよ!じゃ、私顔洗ってくるね!」
そう言うと、マリーは逃げるように部屋を出て行ってしまう。
なんて事だ。
泣いているマリーを連れて帰る為手を握った時、自分には無い小ささや柔らかさを感じた。
もう一度、と思ったのが悪かったんだろう。
暫く立ち直れないかもしれない。
マリーに嫌な思いをさせてしまったんだろう。
まるで兎のように足早に逃げていってしまったんだから。
この気持ちを伝える為には、もっと慎重にしなくてはいけないな。
もう、マリー無しの生活は考えられない。
この部屋からは逃がしても、俺からは逃がしてやれそうにない。
自分にこんな感情があった事に驚くが、暫くは好きになって貰う為に頑張るつもりだ。
もし、それでも離れたいなら仕方のない事だ。
勿論、手は抜くつもりはないが。
とりあえず、マリーの為に朝飯だな。




