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4 ※ゲイルside



「暇だな」



戦争が終わり、貢献はしたが終わった後も国の為に働くのは正直面倒だった。

色んな物を断り、この家と豪遊せず暮らせば一生生きていけるだけの金を貰い、家族である氷の高位精霊アレンと共に街にも近いこの森に越して来てから2年ーー



最近は暮らしにも慣れ、家に有る本も読み切ってしまった。


つまり、暇を持て余していた。


近くに街は有るがわざわざ暇潰しに出向くのも億劫だ。


とりあえず、アレンと近くの湖で昼食用の釣りでもしに行こうかと歩いて来ると

不意に空気の流れが変わった気がして空を見上げた。




すると、湖の上がパッと光りそこから人間が落ちて来た。




「ーーな!?」




水しぶきを上げ叩き付けられ、パニックになり溺れていく少女。

自然と身体が動き、上着を脱ぎ捨て救助に向かう。




腰に手を回すと、少し安心したのかパニックで取り乱したりせずに

脱力して身を任せてくれたお陰で楽に地上に到着した。



「大丈夫か?」


彼女は、咳き込み終わるとこちらを見た。

そこで初めてちゃんと容姿を確認した


黒く艶やかな髪

健康的なピンクに近い白い素肌はしっとりと濡れていて小さいので、少女かと思われたが女性だ…と分かる程には垢抜けている。



輝く深い紫の瞳は最大にまで開いていて驚いた表情をしていた。


何かを小声で言っていたが、上手く聞き取れ無かったので

何者かを問うたら暫くの沈黙の後、グラッと身体が傾いた。

慌てて支えると彼女は意識を失っていた。


呼吸を確認し、ショックで気絶してしまったのだろうと踏んで

魔法で彼女と自分の身体を乾かし、家に戻る事にした。


家の玄関を素早く開けて中に入り、客人等そうそう来ない為持て余していた部屋へ行って、彼女をベッドに寝かせた。


『お前を見て気絶していたぞ。

怖い顔をしていたのでは無いのか?』


アレンがクスクス笑っている。




「…そんなに怖いか?」


地味にショックだ。


表情が豊かな方では無い為、怖い、とか何を考えているのか分からない、と言われる事はあったが倒れられたのは初めてだ。


だが、彼女は倒れる前に恐怖というより驚いている顔をしていたのだ。

起きたら聞いてみよう…と、それ以上考えるのを止め何度か読んでいる魔導書を開いた。



アレンは自分の姿を"見せよう"としない限り

魔力量が多く素質ある物にしか見えないので起きても怖がる事は無いだろう。



そんな事を考えて居ると、彼女の身体が少し動いた。




「気が付いたか?」



起きた事を確認する為近くに寄ると、彼女の視線がこちらを向く。



彼女は何かを考えて居るのかぼんやりとしていて、薄ら頬が赤く

熱っぽくじっと見つめられた。



何だか居た堪れない気持ちになり、体調の確認も有るので言葉が通じているか心配になり言葉を続ける。

すると、どうやら言葉は通じている彼女は言葉を無視してしまった事に罪悪感を感じたのか焦って顔を真っ赤にしながら起き上がろうとした。


しかし、彼女は水面に叩き付けられたのだ。


痛さで起き上がりきれずに顔を歪めていたので起き上がらなくても良い事を伝えると、ホッとしたのか上半身だけを起こして微笑みながらお礼を言った。



その笑顔に

何故か胸が締め付けられた。



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