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「あー!ついにこの日が来ちゃった!」
アンバート家からゲイルの家へ帰ってきてから数週間…
ついに初めての『ミレーヌの花市』の日がやって来た
やって来てしまった。
ギルドで必要な物は借りられたので
屋根のあるテントのような物と机、椅子、黒板になっているイーゼルを借りた。
後払いで。
「マリーこれは何処に置く?」
「あ、ありがとう!それはこっち」
危ない人間が来るといけない、と言ってゲイルが断固として付いてきてくれた。
私の指輪の魔法陣枠を全部護身用にしたのに、だ。
相変わらず、甘やかす天才である。
アレンも面白そうだから最初だけでも、と言って先程からニヤニヤしながらテントの外でこちらを見ている
私は黒板に書く内容を唸りながら考え、ゲイルに指示を出した。
「まだ悩んでいるのか?」
「そうなの~、結局なんて名前にしようかは思い付かなかった…。
とりあえず、何をするかと値段だけ書いちゃう!」
そう、店の名前を考えていたのだが良い案が浮かばず当日まで来てしまった。
まだ人は来ない時間だが、設営の段階まで引っ張ってしまって後悔している。
花市の時点では要らないといえば要らないのかもしれないが、後々店を構えるなら必要かと思ったのだ。
「そういえばマリー。本当の名前はどうやって書くんだ?」
「本当の名前?あぁ、こうだよ
『佐藤 真理』
こっちがマリって読むんだよ」
「難しいな…。というかマリーは貴族なのか?」
「あちらの世界では貴族じゃないけど家族の名前が有るのが普通なの」
「そうなのか。なんて読むんだ?」
「さとう、だよ。あっちでは全然珍しく無い名前なの。
それはもう、あだ名なんて確立しまくってて…砂糖だから、シュガーやら揶揄われた、揶揄われた」
「砂糖?調味料の?シュガー?」
「そうそう、砂糖とシュガーは一緒ね。私の名前とは意味が違うんだよ」
「なるほど。では、今あだ名を付けるとすれば【シュガー マリー】なんだな」
「あ、そうなるね」
「シュガー マリー、いいんじゃないか?」
「店の名前!?それはなんか、恥ずかしい…」
「そうか…。良いと思ったんだが」
最近、ゲイルの表情が本当に分かりやすくなっている気がする。
しょんぼりと耳と尻尾が下がる幻覚をみてしまった。
「いや、折角ゲイルが付けてくれたんだからそれにしよう」
もう、なんでもござれだ。
ゲイルのしょんぼり顔が見れただけでも儲けものだと思おう。
悲しい顔はさせたく無いので、私の中の男前が決断してくれた。
ゲイルは心做しか顔をぱぁっと輝かせていた。
きっと、私にしか後光は見えないが拝んでおく。
「マリー、偶にやるそれは何だ?」
「あ、気にしないで!早速書かなきゃだ!」
危ない。
心の中で拝んだつもりが、手を合わせていたらしい。
黒板の1番上にこちらの文字で【シュガー マリー】と書いて開店準備が整った。




