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「実は、アレン様が気ままにゲイルの事を報告しに来てくれているの。
そこで貴女のお話も沢山聞いたわ。
あんな表情をするアレン様は初めて見たのよ?
だから、貴女が悪い子じゃないって知っているわ。
それに、これは母心なんだけど…1人は寂しいじゃない?
ゲイルはしっかりし過ぎているけど自分から余り外に行動する方では無いから、
貴女の様な存在が必要だと思っていたの」
「そ、そうだったのですね…アレン、様が…」
こちらに来る時にアレンも付いて来ていたのだが、王都の精霊に用があるらしく離れているのだ。
まさか、アレンが自分の事を報告していたなんて初めて聞いたのだろう。
ゲイルも驚いた顔をしている。
「話して下さって、ありがとうございます。
仮初の婚約の件、受けさせて頂きます。」
「マリー、良いのか…?」
ゲイルが心配そうにこちらを見てきた
「はい。
ですが、ゲイルと1年の契約をしています。
なので、一緒に住む事は1年限りとなってしまう事をお許し下さい…」
「分かったわ。その時は白紙に戻して、ミレーヌで住む予定なら良い所を見付けておきましょう」
「ありがとうございます!不束者ですが、宜しくお願いします」
「ふふふ、契約成立ね。そろそろお食事にしましょう」
悩まなくてもそうしなければならない事くらい、分かってしまった。
婚約者と仮初でもなってしまった事は、今は考えないようにしよう。
皆様とはその後
この世界に来て感じた事、前の世界のこちらでは珍しい物の話を披露したりして楽しんだ。
食事もゲイルに教えて貰いながらなんとか終わる。
保護者としてファミーユ様、ゲイルと私の馬車
そして国から派遣されているカレン、別の部屋で待っていたエディ、従僕1人がもう一台の馬車を使い、計2台の馬車で王城へ向かった。
その際、ずっとゲイルがエスコートをしてくれる。
婚約者(仮)なのだ。
相思相愛だというのをアピールしなければならない。
ゲイルとこんなに長く触れ合い続ける事が無いので
それはもう、枯れ女の妄想が捗りましたよ…
爆発するのはいつかな…
王の間に通され、アンバート家の屋敷で少し練習させて貰った最敬礼カーテシーをする。
カーテシーがそれはもう、難関だった。
あれは付け焼き刃でするもんじゃ無い。
ドレスで見えないが、脚が子鹿の様だ。
ガタガタ言わせ過ぎているので
バレているだろうが初めてなので気にしないで欲しい、切実に。
帰ったら念入りにマッサージしよう
王は漫画でも拝見していたが、渋イケオジで隣に王妃、一段下に王太子、王太子妃が並んで居た。
王族美形過ぎた、という事しか記憶に無い。
発言を許され、カレンが紹介して私も挨拶をする。
ファミーユ様が婚約者諸々の話をして下さり、納得したのか
『良き事だ』とし、そのまま返してくれた。
保護金は50万ジェニー。
市民と同じ様に暮らそうとする落ち人に支払われる額だ。
生活必需品が買えるくらいの値段であるのは、落ち人の自立心を高める為らしい。
ゲイルにとても嫌がられたが、全額渡した。
これから一年の生活費も少ないがコレで込で!と押し切ってみた。
何より、1番びっくりしたのは
王の肩の上の梟だ。
多分、アレンと同じ類の者で『あやつは、本当に異世界の香りが致します』と言っているので、恐らく気付いちゃ駄目なやつだ。
王城外で待つアレンが『何を見ても気にするなよ』と言っていたのは、これか。
もっと、詳しく説明して欲しかった。
何事も無く謁見が終わり、アンバート家で着替えを済ます。
が、着せられた服はコルセットを使わないふわふわしたドレスだった。
帰る予定なのにあのワンピースが出てこないので
疑問符がいっぱい出たが、これも美しい瑠璃色なので私用に作られたものだ…
1着目で思ったけど、何故サイズ知ってるんだろう…
いや、考えるのをよそう…
そして、皆さんと話した応接間にまた通される。
「マリーちゃんお疲れ様。今日は泊まっていきなさいねっ♡」
ジーザス。




