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「おかえりなさい、ゲイル」


「あぁ、ただいま」



やっと助け舟が来た。と、ゲイルを見て酷く安堵してしまった。


最初とは違うその心境の変化に、少し戸惑いを覚えたが

それよりも、今のこの状況を打破したい。




「ゲイルっ!全然ウチに帰って来てくれないじゃない!」


「カレンか、今日はどうした?エディまで連れて」


「…『カレンか』じゃないわよ!今日は国からの視察っ!」


「久しぶりだな~ゲイル元気だったか~!2年ぶりかっ??」


「ちょっと、エディ!口挟まないで!!」


「なんだよ、俺だってゲイル久しぶりなんだぜ?そんなにピーピー鳴いてると鳥になっちまうぞ」


「な!エディ!」



カレンが笑っているエディを、ポカポカと殴っている。

痛くなさそう。



「…おいおい、お前らマリーが困っている。国から色々預かっているんじゃないのか?」


「「あ」」



余程、ゲイルに会えて嬉しかったのだろう。

思い出したかのように、やって来た2人はテキパキと書類を出して説明をしてくれた。


「『落ち人』マリー、決定事項から話すわ。



もうこちらに住んでいるから、国から多少保護金が出るわ。

代々落ち人は、国を豊かにしてくれているから外への流出を防ぐ為ね。

勿論、普通に過ごした人も居るから何かをしなければならない事は無いのよ。

落ち人を保護している、という事にメリットが有るから。


もし王都に住みたいのであれば、王城にてお迎えする。との事よ、どうする?」



「…今のところ行ったことが無いので、王都に住みたいとは思っていません。

ですが、ゲイルに負担を掛けすぎている事と事業を展開しようと思っているので…保護金は正直、有難いです」


カレンも仕事モードが出来るらしく

数分前の言葉が嘘のようにスラスラと話してくれた。


ゲイルはきっと負担じゃ無いって思っているのだろう、物凄く眉間に皺を寄せてこちらを睨み付けている(本人はきっと自覚が無い)。

相変わらず優し過ぎる人だ。


「では、そのように…。

1度王城に来て貰う事になるわ。お金もその時になってしまうけれど」


「大丈夫です。王都まではどれくらいかかりますか?」


「馬車で約1週間程よ。

だけど、ミレーヌに王都に繋がる国用の転移魔法陣があるから行く時は一瞬で行けるわ。

だから、行ける日取りを教えて欲しいの」


「3週間後にミレーヌの花市に出店する予定なので、その日以外で有れば私は構いません。」


「分かったわ。今日はこの結果を持ち帰って、後で日取りを使い魔に持たせるから

少し待っていてちょうだい。」



「分かりました。宜しくお願いします。」



書類が纏まるとカレンとエディは

サッと席を立ち、今日は国の使いで来ているので帰る。

と言うのでゲイルとお見送りする事にした。


「ゲイル、またな!来た時には飲みに行こうぜ!皆誘っとくよ!」


「あぁ。大人数は余り気乗りはしないが…」


「ゲイル!ウチには絶対来てね、お母様や兄様達にも言われてるんだからっ!

来てくれなきゃ、その内家の中母さんの使い魔だらけになるわよ」


「それは勘弁だな…」


「それに、あんた!」


「はいっ!」



危ない。気を抜いていた。


「仕事の話だったから、普通に話したけどあんたと仲良くするつもりなんて無いんだからっ。

ゲイルに迷惑かけないでよね!ふんっ」


カレンはそう言って足早に出て行ってしまった。


「カレン、そんな事言うなって。

って…ま~た先に行っちまったよ…

ごめんな、マリーちゃん。あいつにとってゲイルは特別なんだ。

気ぃ悪くしないでな!じゃ!」



「は、はい。お気を付けて…」


私の両肩をバンバン叩いてエディもカレンの後を追った。

嵐の様だった。


2人と話すゲイルを見て


私は少しだけ『寂しい』と思ってしまった



モヤモヤ、何かが締め付けて

疎外感が心を占領しようとしてくる。


だけどこれは、しょうがない事。

私が知らないゲイルを、2人は知っているんだもの。


カレンの言う事は正しいし、カレンに悪い印象は持っていない。


だけど

迷惑をかけるな…という言葉が胸に棘の様に刺さってしまった



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