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森のげえむ屋さん  作者: 平野文鳥
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第8話 『縁の下の力持ちのミーちゃん』

 『森のげえむ屋さん』のアイドルのネコのミーちゃんは、ぼくと同じようにゲームの絵をかくために会社にはいったのですが、いつのまにか事務のお手伝いまでやらされるようになったそうです。


「どうして事務の仕事まで手伝ってるんですか?」

「あたし、この会社にはいる前は事務のお仕事をしていたから」

「でもそれじゃ、みんなの2倍働かされてるわけじゃないですか? なんか不公平ですね」


 ぼくはなっとくできない顔でミーちゃんに言いました。


「しかたないわ。だって、人手がたりなくて社長も困ってたんだし。だれかが手伝ってあげないとね」

「じゃあ、せめてお給料をもっともらわないと割があいませんね」

「ウフフフ……。もらえるんなら、もうとっくにもらってるわ」


 ぼくはミーちゃんの、そのサッパリとした答えにちょっとビックリしました。もし、ぼくがミーちゃんのように、あれもやれ、これもやれと言われたら、たぶん『じゃぁ、給料を2倍ください!』とか、『ぼくは絵の仕事をするためにこの会社にはいったんです。そんな仕事をするためではありません!』とか、不満ばかり言ってたかもしれません。いや、きっと言ったでしょう。しかし、ミーちゃんは自分のことよりも社長がこまっているから手伝ってあげてると言いました。それもお給料はそのままで……。う〜ん。ぼくとはえらい違いです。


 ミーちゃんはいつも明るくて元気です。そして、なかまの面倒をよくみます。まるで、みんなのお姉さんのように。

 これはファルコン社長から聞いた話ですが、ぼくが会社にはいる前に、あるゲームの締め切りが近づき、会社のみんなが疲れきってすごくイライラしていたことがあったそうです。それで、ミーちゃんはお菓子を買ってきたり、冗談を言ったりしながらみんなの気分をやわらげようとしたそうです。ところが、社員のひとりから(モグリンさんですが……)仕事のジャマだからよけいなことをしないでくれ! と注意されたそうです。

 そんなつもりじゃなかったミーちゃんはとても落ちこんで体調をくずし、次の日に会社を休んでしまったそうです。そうしたら、その日はまるで『お葬式』のように会社の中が静まりかえり、みんなミーちゃんのことが気になって仕事に集中できなかったそうです。(特にモグリンさんが……) そして、ミーちゃんの大切さを改めて知ったみんなは、ミーちゃんにお見舞いの電話をあげたそうです。特にモグリンさんは自分の無神経さをヒドク反省して、電話の向こうのミーちゃんに向かってなんども頭を下げてあやまったそうです。

 次の日、ミーちゃんが元気な顔で会社に出て来ると、みんなはとてもよろこび、社内のフンイキもいつものように明るくなり仕事もとてもはかどったそうです。


 ぼくはファルコン社長からその話を聞いたあと、こう思いました。

 仕事って、その仕事に直接たずさわっているスタッフが重要だとばかり思ってたけど、実はその考え方ってとんでもないカン違いだったと。だって、ミーちゃんのように、その仕事がうまくゆくようにみんなが気づかないところで『縁の下の力持ち』をしてくれてるスタッフもいるんですから。そういう存在ってとても大切ですよね。


 ぼくもミーちゃんを見習ってがんばんなきゃ!

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