説明回なんだが???
執務室の椅子に座り、くるくると回りながら質問を考える。レアリティやスキルについても齧るくらいは聞いている。
これを詳細に掘り下げていくのが良いかそれとも・・・とうんうん悩んでいた。あまりメルバを待たせるのも悪いと思いとりあえず考えていたことを聞いた。
「その・・・召喚っていうのはいったいなんなんだ?」
「国王召喚のことでしたら、この国では昔から国王は異世界から召喚し国王になってもらうのが慣わしとなっております。その際に大規模魔法陣を用意し異世界からの国王になり得る人を呼び出すのが召喚となっています。」
「わかったようなわからんような・・・それじゃあ前の王様はどうなったの?」
「以前の国王は崩御なされました。召喚はそうなんども行える物ではない為次までにかなり時間がかかってしまいましたが・・・」
「というか俺でいいの?俺人間だから100年も生きないと思うけど・・・」
「問題ございません。魔界の魔力に当てられ寿命が伸びる場合もございます。」
「そうなんだ・・・その召喚って昨日も聞いたけど帰れないの?」
「この国の歴史で召喚から自分の世界へ帰ったという例は聞いたことがないですね・・・」
「そっか・・・俺ってどうして選ばれたの?」
「さぁ・・・私にはわかりかねます。魔法陣が選ぶとしか・・・」
「うーん・・・わかった。」
召喚についてはわかったような気がする。次にする質問を考えているとお茶を持った悪魔メイドが入ってきた。
「ご苦労。」
「いつの間にお茶なんて・・・」
「これぐらいどうってことないですよ?」
「そうなの・・・」
お茶を一口飲み、息をつく。うん、美味い。
「じゃあ次はこの世界について聞こうかな。」
「魔界ですか?」
「うん。そもそも魔界ってなんなの?」
「魔界というのは魔族が住む魔力の豊富な世界・・・ですね。」
「ざっくりだね。」
「これ以上の表現しようがありませんので。」
「そうなの・・・じゃあ魔族は?」
「魔界に住む種族は魔族になります。」
「種族ってたくさんあるの?」
「無数にあります。全部ご紹介致しますか?」
「い、いやその都度で・・・」
「かしこまりました。」
うーん。まだ聞いておかなきゃならないことはある。例えばスキルとやらについて、だ。
「スキルについて詳しく説明してくれる?」
「かしこまりました。スキルというのは今朝説明した通り、技能です。裁縫や料理などの技能に対して使われます。スキルは後天的に得られるものでスキルにもレアリティが存在するのです。本人のレアリティが高いほど高いレアリティのスキルが現れやすいです。そして基本的にスキルは頑張ればなんでも習得できます。」
「へぇスキルってなんでも習得出来るんだ。」
「スキルのレアリティの優劣はありますけどね。スキルのレアリティは頑張った分だけ高くなるとも言われています。それにスキルはレアリティよりも持っていることが重要視されていますので優劣によって比べられたりすることは少ないです。更にスキルの習得は種族によっても差があるので特定のスキルは特定の種族の専売特許みたいな感じもあります。」
「それって俺にも適用されるの?」
「もちろんです。こちらに呼ばれた段階でこちらに適応するようになっています。陛下の場合だと政に適したスキルを習得出来るのではないかと考えます。」
「なるほどそのスキルがあれば俺でも王様が出来るってことか。」
「そうなります。」
「そういえばレアリティって不変の物なのか?」
「はい、基本的には不変です。ですが過去大怪我等で手足を失った者がレアリティが下がった等の報告があったとか無かったとか・・・」
「ふーん・・・」
なるほど便利だ。スキルがあれば俺でも国王出来そうじゃないか。不安が少し解消されてよかった。・・・ん?待てよ?
「俺、今スキル持ってるの?スキルを習得するまでどれくらいかかるの?」
「・・・頑張ってもらうしか・・・」
黙っちゃったよ。質問を変えるか・・・他に聞いておきたいことは・・・
「あっ魔法ってなんなの?」
「魔法とはその名の通り魔力を用いて使用する力の事です。魔力とは大気中に漂う魔力素と呼ばれるものを体に取り込み体の中で魔力へと変換し生まれるものです。魔力素は魔界ではありふれたもので他の世界に比べて豊富だと言われています。それが魔界の魔法技術の発展に寄与していると思います。」
「ふーん・・・その魔法って俺も使えるのかな」
「あー・・・どうでしょう・・・おそらく・・・使えないと・・・いや調べてみないことには・・・うーん・・・」
「あー・・・多分使えない感じなのね・・・」
「・・・はい・・・」
せっかく魔法のある世界へと来たのに残念だ・・・
「じゃあ魔法ってどんなものか見せてくれない?」
「こうでしょうか?」
メルバの手のひらに氷の塊が無から出現する。おおっと歓声をあげてしまった。すごい。魔法だ。
「他にも炎や雷なども出せますが危険なのでこれでご勘弁ください。」
メルバが手を握るとパリンと氷の塊が砕け、破片はしゅわしゅわと空気に溶けていった。うーん魔法だ。すごい。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「・・・うん大分聞きたいことは聞けたかな。」
いろんなことを聞いたがメルバは嫌な顔せず全て答えてくれた。感謝しかない。いまだに国王になるなんて懐疑的だがもうはや逃れることは出来ないらしい。帰ることも出来ない、レアリティ、スキル、魔法なんてものが実際存在する世界で生活に慣れるなんて本当に出来るのだろうか・・・不安だ・・・
「大丈夫ですよ。」
「えっ」
「陛下に何があろうとも私たちは絶対に失望したりなど致しません。ゆっくりと慣れていけば良いのです。いきなり国王となるのは不安しかないでしょうが我々がきっちりサポート致しますので御安心ください。」
メルバにふわっと笑顔を向けられる。・・・また顔に出ていたかな。俺が不安を抱えたままだとメルバも不安だろうぼっちの俺だがそれぐらいの気遣いは出来る。メルバ達を信じてこれから国王として頑張っていこうと心を決めるには十分だった。