王様になるんだが???2
お茶、美味しかった。そして庭を後にすると厨房に案内すると言われメルバについていく。辿り着いたのは何百人前も拵えられるような広い厨房だった。
「うお・・・」
「広いでしょう。我が城自慢の大厨房です。」
「うん。」
「おぉ〜いメルバぁ〜」
「紹介致します。彼女がこの厨房を束ねる山越巨人のアウローラです。」
「おぉ〜陛下ぁよろしくお願いしますぅ〜」
デカイ。何もかもデカイ俺の3倍はありそうな巨体の彼女はゆっくりとかがみ込んで挨拶してくれた。このダダっ広い厨房も彼女にはちょうどいいサイズなのかもしれない。
「あ、ああよろしく。」
「美味しいぃご飯作るからねぇ」
「この厨房の料理人は代々山越巨人が勤めています。朝食を食べて頂いたのでお分かりかもしれませんが腕は保証致します。」
「そ、そうだね。」
確かに朝食は美味かった。腕は信じていいかもしれない。ただこのサイズで俺一人ぶん作るのって微妙に大変なんじゃないか。いやそこまで精密に調理出来る技術があるから厨房を任されているのか。
「よし。次いこうメルバ。」
「はい陛下。」
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厨房を後にして次に来たのは兵装庫。メルバ曰く城内に散見するうちの一つで一番大きいところとのことだが槍とか盾とか剣とかボウガンとかその他にもいろいろある物騒極まりない。
「うわぁ・・・」
「ここが兵装庫です。いつもなら担当の者がいるのですが・・・いませんね。」
「そうなんだ。」
「ここは非常時等に立て篭もる際に使われるものですがここ六千年は使われた形跡はありません。」
「ろくせ・・・!?」
「もちろん手入れはしていますが平和なことをを喜びましょう。」
ここが自分の代で使われることが無いように願いたい。持ってみますかと槍の一つをメルバから渡されるがとても軽い。良質なんだとわからされる武器だ。ちょっとワクワクする。
「へー・・・」
「この通り超鋼碧銀をふんだんにしようした物です。ここへの仕入れが城下町の鍛冶屋の収入源にもなっています。」
「そうなんだ。」
「担当の者が戻ってくる気配もありませんので次に行きましょうか。」
槍をメルバは棚に戻すと手を引いてくれた。ちょっと恥ずかしい。すべすべでやわらかーい。とくだらないことを考えていると兵装庫を後にした。
「次は前門へ行きましょう。城下町が見えますよ!」
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前門、この城の入り口なわけだがデカイ。門は高さが20mくらいある。複数人の門番に守られていて堅牢さも窺える。すごい。
「他にも城に入る為の門はありますがここが前門です。実質入り口はここだと言ってもいいでしょう。」
「すご・・・」
「城下町も見えますね天気が良くてよかった。」
城は丘の上にあったようで前門から見える城下町はとにかく綺麗だった。よく繁栄していると言える。賑やかさがこちらにも伝わってくるようだ。
「ソビエルツキーの国土は広大ですが栄えているのは城下町だけではありません。各地に大きな街があり繁栄しています。」
「・・・この国を俺がなんとかしなきゃいけないの?」
「そうなりますね。」
「無理じゃない・・・というか必要なくない?」
「いえ、国王は必要です。我が国の国王召喚はそういうものなのです。私たちが国王を強く求め入念な準備を進めて行います。大丈夫、私たちは召喚された国王を疑いません。信じていますので。」
責任が重い!!!全幅の信頼が重い!!!ぼっちでソロキャンなんかしている俺には重すぎる信頼だった。
というかこれは召喚がそれだけ信頼されているということだろう今まで召喚された国王というのは余程の人物だったに違いない。鑑定でレアリティがすごい高いというのもなんとも自分には信用がない。何を保証してくれるというんだ。困った・・・
「ううーん・・・」
「・・・。」
うんうん悩むが何も解決策が浮かばない。そもそも帰れないのだ。まだ二十代なのにハゲそう。
「・・・陛下、最後に執務室へご案内致します。」
「え?あ、うん・・・」
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「ここが執務室です。」
「うん・・・ありがとう。」
比較的控えめな大きさの扉を開けてもらうと中には装飾の施された机と椅子、周りには本棚が置かれている部屋だった。いかにも執務室といった感じだ。
「おかけくださいませ・・・」
「わ、わかった。」
椅子に腰掛けると上質さがわかる作りだった。腰とか背中とかよくわからないけどあまり疲れがたまらないようにできているのだろうことがわかる。
「それでは陛下、今日の用事は以上となりますのでこの後はごゆっくり過ごせます。必要ならば今日も質問なども受けます。」
「じゃ、じゃあ少し質問させてもらおうかな・・・」
「かしこまりました。なんでも聞いてください」
ふんすと鼻息荒くメルバが意気込んだ。よし、聞きたいこと聞けるだけ聞いておこう。