疑問3つめ★
「あたしは、この世界が嫌いだったんだ。
この腐った醜い世界が。
謎でいっぱいで、意味不明なこの地球が、あたしは嫌いだったんだ。
だから、それから逃れようと、この屋上から自殺した。
幸い、あたしは仲間なんて作んなかったから、悲しむ人なんか一人もいなくて。
家族って言うものもなくて、
あたしはね、ほんと、この世界も、自分の立場も、
全部が嫌いだったんだ…。
でもね、自殺したのに、死んだはずなのにあたしはこの世界にまだいたんだ。
死んだら、何もなくなって、
目の前が真っ白になるんだとばかり思ってて死んだのに…。
あたしはいまだに
この嫌いな世界から逃げられていないんだよ。
なんか、
今更だけど複雑な気持ちなんだよ。
多分…
早月も、今、
あたしが思っていることと同じなんじゃない?
とっても、複雑な気持ち。」
少女が僕の頭から手を離した。その瞬間、涙がピタリと止まった。
まるで魔法をつかったかのようだった。
でもそのとき、なんだか嫌な予感がふとした。
その手が、離れてほしくない気がした。
「…ねぇ、どうしてさ、僕は満が見えるの?」
ずっと思っていたことを言ってみた。
そんな複雑な気持ちなのに、どうして僕の前に現れてきたのか。
少女は微かに笑って一言こう言った。
「あんたがあたしに似てたから。」
へ?
僕に似てる?
どこが?
どうして?
そう聞く前に、少女は答えていた。
「あんた、いっぱい疑問持ってたし、
一人だったし、
前のあたしとどことなく似てたのよねー。
あたしは、あんたと話してみたいと思ったから
あんたの前に現れた。
でも、あんたの将来に、
いちいち手出ししていけないと思ってた。
今になってね、あんた、やっぱりあたしとは違うって思ったわ。
泣きやすいし、あたしより疑問もちすぎだし
……親友ができたし。」
少女は、最後の言葉を強く言っていた。
そのときの顔が、あまりにも優しくて、僕はやっぱり泣いてしまった。
さっきから流れていて、涙がなくなりそうだ。
少女は優しく僕の涙を拭ってくれた。
僕はそのとき、泣き止まなければいけないと、何故か思った。
僕は、何もいえなかった。
やっぱり、情けない自分に、何か言い聞かせたかった。
でも、ぼくは短く言った。
「ねぇ。早月に会ったら、一発、殴っといてね?」
僕は精一杯微笑んでいた。涙を流しながら…。
だって、早月ならわかってくれるだろうから。
その拳に、沢山の思いを込めているから…。
少女はにかりと笑って一言言った。
「あたしは、手加減するような女じゃあないよ?」
その答えに、僕は静かにうなずいた。
少女は僕がうなずくのを見て、僕の襟を掴んだ。
「あんたは、あたしや早月のようにはなるんじゃないよ?
自分自身の人生を、精一杯楽しみな。」
いつもの少女らしい言葉が僕の耳に響いた。
僕は精一杯うなずいて、少女は手を襟からはなしてフェンスに乗った。
「お別れだ。馨。」
少女は、それから目を離さずに、静かにつぶやいた。
僕は涙を拭いて、これ以上こぼれてこないように堪えながら笑った。
「うん。バイバイ…。」
少女は、僕の心を読み取ったのか、一言言って間を空けた。
「感情が言葉に出すぎなんだよ。バァカ。」
クスリッと笑った少女の声も、なんだか震えていた。
そして最後に言った。
「この腐れかかった意味不明な世界をただ生きていれば、
それだけであたしは立派だと思う。
あんたはあんたなりに生きてみな。
死んでからじゃ、何もかもが遅いんだから。
あんたがもし、この世界から逃げ出したのなら、
あたしも、
早月も、
あんたを快く受け入れることはしないよ。
だから、
最後まであきらめるな!!以上!」
少女はそう言い切って足に軽く力を入れ、スゥっとどこかに消え去っていった。
少女が消えてから、僕は静かにうなずいた。
「もちろん、あきらめなんかしないよ。二人とも、ありがと。」
僕は空に向かって、今一番の精一杯の微笑みを見せた。
だって、この空に、早月や少女がいるだろうから…。
僕は、諦めなんかしやしないよ。
二人が見守ってさえすれば、僕は何も怖くなんかないから。
だから、いままで一緒にいてくれて、僕を慰めてくれて、
ありがとう。
そういって僕は、残りの道を歩くことにした。
人生っていう道をね。
これから、もっと辛いことが起こるだろうけど、僕はそれも乗り越えられそうな気がする。
頑張るよ。
僕は。
だから、
いつまでも、
僕を見守っていてね?
二人とも…。
これからも
この大空は、
きっと僕の支えになるだろうね。
そう思って、
大空にだけ、
僕は細長く温かい涙を流した。
そして、
疑問を沢山持った僕が、
今度はその疑問に答えられるようになろうと、
そう試みることにしてみた。
僕は生きるよ。
この、意味不明な世界を。
一歩一歩、
同じ速さで。
さぁ終わりでございます
が、
どうでしたでしょうか。
一言でも良いので
メッセージをくれると
ありがたいです。
期待されていなかった方は…
まぁ、そうですよね…(汗)




