64 繋がり
ごめんね、遅くなって。
おいで。
そんなところに捕らわれていなくていいよ。
あんな人たちのために自分をすり減らさなくていいよ。
おいで、私の中に。
忘れられないほどの絶望なら、忘れないままでいいよ。
忘れたいなら、忘れてしまえばいい。
私も一緒に抱えてあげるから。
おいで。
あなたの唯一も一緒に。
ずっと守ってきたんだね。
唯一の心の欠片を。
ずっと大事に守ってきたんだね。
一緒においで。
一緒に守ってあげる。
壊しそうだったんだね、唯一の欠片を。
もう大丈夫。
もう誰にも壊させないよ。
一緒に幸せになろう。
一緒に楽しいことをたくさんしよう。
一緒に唯一を愛そう。
大丈夫。
一人じゃない。
側にいる。
おいで。
おいで、私の中に。
────。
気が済むまでここにいていいよ。
唯一とひとつになる?
でもどうせなら、また出会いたいよね。
あなたがこの人だと思った人に、唯一を託せばいよ。
そしてまた出会えばいい。
あなたたちがまた出会うよう、おまじないを掛けてあげる。
大丈夫、怖くない。
離れてもきっと出会うから。
今は気が済むまで休んで。
今は唯一と微睡んで。
また巡り会いたくなったら、そこから始めればいい。
大丈夫。
いつまでもここにいていいよ。
でも。
私はあなたに会いたい。
あなたの唯一にも会いたい。
おじいちゃん、憶えてる?
そう、おじいちゃん。
もうおじいちゃんになっちゃったんだよ。
おじいちゃんもきっとあなたに会いたいはず。
あなたに可愛がって貰ったって。
きっと今度はおじいちゃんが可愛がってくれるよ。
ゆっくり、ゆっくり。
唯一と一緒に決めればいいよ。
大丈夫。
大丈夫。
一人じゃないよ。
側にいるよ。
繋がっているよ。




