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たった一言でも… -刹那の微笑み-

作者: リュッシー

私の名前はT。

両親と妹と住んでいる。四人家族だ。

私は漫画家を目指している。


ここだけの話、家族三人…母と妹と私は父とうまくいっていない。

口を開けば金金金。そんなこと聞いていない…など。正直関わっていて不快感を覚えるのだ。

しかしそれでも私からしたら父親。

妹にはそのような考えはないようで、自分の嫌いなものは全て排除といういかにも若者らしい考えなのだが…

父とはよくニュースや、旅行の話で話すようにしている。

しかしそれも父には苦のようで、皮肉と文句を混ぜ合わせ、話してくる。

それでも私は我慢し、父とは楽しく話そうとしている。


最近は自分の絵の上達がだんだんとしなくなり、少しスランプに陥ってしまっている。

そのおかげで絵から離れてしまことも多くなったが、一度描くことに向かえば、何故かそれに集中し、

自分の欠点や反省点などを見つけ、描き直せるようになってきた。

しかし集中してしまうため、または熱中してしまうため、「T!!晩御飯だよー!」

と声をかけられても「先に食べててー!」

と返し、結局夜一人で食べることが多い。

ただでさえアルバイトが忙しく、家族と食べる時間もないというのに。


だから私はいつも料理を作ってくれる母に感謝を一言述べることにした。

自室からリビングに向かうため階段をくだる。

そして母を呼び、「いつも作ってくれるのに食べるのが遅くなってごめん。」

すると母は「今日作ったのは父さんだよ。でもありがとうね。」と。

なので私は父を呼び「いつもありがとう。いただきます。」

どうな反応を示すか、ドキドキしている私を無視して父は「おう。」

と、呆気なく答え、私が呼ぶまで熱中していたと思われる読書に戻ってしまう。


そして私は食べ終えると、皿を、橋を、椀を洗い、自室に戻る…

途中に父を呼び、「おいしかった。ごちそうさま。」

と声をかけた。

父はまたあっけなく「おう。」

と答え、すぐに顔を本で隠してしまう。

私は階段をのぼりながら、本で顔を隠す父を思い出す。


本で顔を隠す、その刹那に見えた父の微笑み。


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