六羽・押すな押すなは押してあげるのが世の情け
失踪したかと思ったって?
HAHAHAHA面白い冗談を言うじゃないかジョニー・・・
いや、謝りますので許して下さい
・・・六羽です
「九郎。あなたバイトする気はない?というかしなさい」
学校でリアル鬼ごっこに巻き込まれて疲れて家に帰ってきた九郎は、久々に家に帰ってきて玄関で待ち伏せていた母親から突然こんなことを言われた
ちなみに九郎の両親は名の知れた新聞記者をしており。九郎が中学二年になったあたりから各地を飛び回っており(比喩表現ではない)、滅多に家に帰ることは無いのである。
は?バイト?・・・やな予感がするぞ
「ちょっと待ってくれ母さん。急にどうしたんだ?」
とりあえず九郎は話を聞くために靴を脱ぎリビングへ移動した。
「いやぁ、ねぇ。知り合いがさぁ、人手が足りないーと苦しんでいたのよ。だから九郎も高校生になってバイトもやりたがってたし、いいかなーと思って推薦しちゃった♪」
いや、母さんよ。別に俺バイトやりたがってたことは無いんだけど。それに推薦しちゃった♪って可愛く言っても年はごまかへぶっ、ごふっ
突然、母親から九郎に対してビンタが繰り出され、ビンタの勢いで飛ばされた九郎は数メートル先の壁に激突した。
「あら、いけない。何故か自然に手がでちゃったわ。ごめんねー九郎」
ニッコリと微笑みながら謝る母さん・・・
いや、訂正しよう。表面上は笑っているように見えるが目が笑っていない。氷のような眼差しだ。正直めちゃくちゃ怖い。
「ソレナラ、シカタガナイネ」
くっ、我ながら情けない
まぁ、この件は横に置いといて。・・・違う違うぞ、怖いから空気を変えたい訳じゃないからな。
「まぁ、バイトしてもいいよ」
まぁ、入りたい部活も無かったし。お金はあったも困らないしな。
「本当!じゃあさっそくで「ただし」ただし?」
喜んでいた九郎の母さんは九郎のただしという言葉に不思議そうに聞き返す。
「そのバイトの内容によるけどね」
母さんは少し思考回路が違うところがあるからなぁ。どんなバイトをもってくるか分かったもんじゃないからな。
「それなら大丈夫よ。母親を信用しなさい」
大丈夫、母さんのことは信用してるよ悪い方向でだけどね
自慢気にいう母親に九郎は少し戦慄を感じる。九郎はこれにより感じ取ることができた。あぁ、面倒なことになりそうだと言うことを
「ちなみにバイト先はよろず屋よ」
・・・よろず屋?
「・・・よろず屋って銀○の銀さんがやってるよろず屋?」
「そうよ。○魂の銀さんがやっているよろず屋よ」
せっかく伏せ字にしたのに、ずらしては伏せ字の意味はなさないだろう。
「よろず屋って何でも屋の事だよな?」
「そうね。なんでも屋さンね」
「母さん。それはいろんな意味で駄目だっ!」
九郎は額から冷や汗が流れるのを感じた。
「ま、話してても意味はなさないわ。実際に行ってらしゃい」
そう言って母は肩に掛けた鞄から取り出した折り畳んだ紙を地図と言って俺に押し付ける。
「・・・拒否権は?」
「そんな便利なもの無いわよ」
だと思ったよ。ちくしょう
九郎は受け取った地図を母親に丸め込まれた悔しさからか床に叩きつける。
「あらあら、酷いわせっかく手書きで書いた地図なのに」
「ええっ、わざわざ手書きなの?汚なっ!!」
九郎は地図を拾って開けてみると奇抜な絵と奇妙な記号が書かれていた。これなんて古代文字?
「母さん。いつも言ってるけど、俺にはこの文字読めないんだけど」
「あらあら、今回は丁寧に書いたのに」
え、これで丁寧なのか?普段と全く変わらないんだけど。
「前から、思ってたんだけどさぁ。どうやって新聞書いてるんだ?」
「え、メモと写真取ってワープロに打ち込むだけだけど?それがどうしたの?」
ワープロは偉大なり・・・か。
「そうだ、父さんは?父さんは一緒じゃなかったのか?」
「もうすぐ帰ってくるんじゃないかし「あ゛ー、頭痛いし疲れたー」ほらね」
なんというタイミングだまるで漫画や小説のようなタイミングだ。
「父さんお帰りって、今回はどうしたんだその姿」
九郎が驚くのも無理なかった。返ってきた父親の服の端々がボロボロになっていたからだ。
「おう、九郎か。いやな、写真を撮ろうとしたら見つかってな。ちょっとした銃弾の嵐にあったんだ。幸い一発も当たらなくてすんだが、服はボロボロだよ。ハッハッハッハッ」
明らかに笑って済むようなことではないが、こんなことが毎回なのであまり驚いたりしなくなってきた自分自身に九郎は苦笑する。
「で、ばれて大丈夫なのかよ父さん」
「大丈夫だ。山本に頼んで俺が全員のした後に記憶を消して貰ったからな。それより、鈴は?」
「鈴はまだ学校」
ちなみに鈴とは俺の妹のことでで、本当は鈴音と言う。
・・・ちくしょうなんで俺の名前は親父ギャクなんだよ。
「そうよ。鈴はまだクラブじゃない、あなた」
「そうだったな母さん」
ハッハッハッハッと笑いあう二人。
はぁ、居なかったら居なかったで寂しいけど居たら居たでうるさいわやっぱこの二人。
「そうだ、あなた菊ちゃんの所までの地図持ってる?この子私の地図じゃ満足出来ないとか言い出すの」
満足出来ないなんて言ってねーからな母さん。理解できねぇだけだ。
「そうだと思って父さんも地図を書いてきました」
そう言って父さんも鞄から折り畳んだ紙を取り出す。
「わ、さすがあなた」
「照れるじゃないか母さん」
死ねバカップル。氏ねじゃなくて死ね。そして、なんで父さんまでも手書き?まぁ、いいや中身は・・・
九郎は父から紙を受けとりそれを拡げる。
・・・ん、まぁ・・・ね。流石父さんとしか言いようがないやこれ。
父さんが書いた地図は丁寧に定規で線が引かれ、見やすいように出発地点である家と目的地らしき場所に色が塗られていた。これを見ると、母さんの地図の残念が伝わぶっ、ぐふっ。
九郎に対し母二度目のビンタ炸裂!!
「どうしたんだ?母さん」
「いや、手が勝手に・・・」
「なら、仕方がないね」
いやいやいや、父さんよ仕方がないことないからな。ビンタに物凄く悪意が込められてたからな。
「そうだわ九郎。地図も手に入ったことだし、今から一度行くべきじゃない?」
え?なにそのとんでも理論。
「え、いや「行ってみなさい」・・・はい」
・・・俺は無力だ。