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Disaster  作者: 惣菜さん
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Prologue

2030年 1月1日 かんざき ゆう


もじがかけるようになったから、ことしからにっきをかけっていわれた。だからかく。

きょうはおとうさんとおかあさんといっしょに「はつもうで」にいった。

人がたくさんいて、びっくりしたけど、とってもたのしかった。

かえるときに、おとうさんとおかあさんが「おまもり」をかってくれた。


2030年 3月18日 かんざき ゆう


ようちえんはことしでそつえん。とおくにいっちゃうおともだちもいるらしい。それがわかってかなしかった。でも、しょうがっこうはたのしみ。ともだちひゃくにんできるかな?みんなでうたったおうたみたいにできたらうれしいな。


2030年 12月24日 かんざき ゆう


きょうはクリスマス・イブ。おとうさんとおかあさんがすきなもの一つだけかってくれるっていってくれたから、おとうさんとおそろいのてぶくろをかったんだ。とってもうれしい。おっきなてぶくろだけど、いつかおとうさんといっしょにつけるんだ。はやくてが大きくなるといいな。


2030年 12月25日


2030年 12月29日 かんざき ゆう


おとうさんとおかあさんがしんじゃった。12月25日のこと、あんまりおぼえてない。みちをあるいてたら大きなかげがほどうにつっこんできて、おとうさんとおかあさんがぼくをつきとばしたのはおぼえてる。でも、そのさきはよくわかんない。でも、おとうさんとおかあさんが「なかないで」っていってた気がするから、どんなことがあってもなかない。やくそくだもん。にどと会えないくらいとおくにいっちゃったのはなんとなくだけど、わかる。きょうからぼくは、おじいちゃんとおばあちゃんのいえにいくことになった。ぼくはおじいちゃんとおばあちゃんのいえの子になる。


2031年 3月12日 かんざき ゆう


おじいちゃんがたおれた。まえから、じびょーがあったらしい。おばあちゃんも体はあんまりつよくないらしい。ぼくはこのいえのじゃまものらしい。やさしくこえをかけてくれるけど、なんだかすごくつらそうだから、めいわくはかけられないから、おばさんの家にいくことになった。にっきとふくとおまもりと、ひつようなものだけもってでていこう。4がつ10にちからは、まほーしょうがっこうにいく。べんきょうがんばらなきゃ。


2031年 4月10日 かんざき ゆう


きょうからまほーしょうがっこういちねんせい。まわりの友だちはみんなおとうさんとおかあさんがみにきてくれてるみたいだった。ぼくも、おとうさんとおかあさんがいたらみにきてくれたのかなぁ?でも、がっこうの友だちはみんなやさしくてたのしいからだいじょうぶだとおもう。


2031年 8月14日 かんざき ゆう


おばさんはあんまりやさしい人とはおもえない。なんだか、すごくこわいんだ。でも、おじさんがそのぶんすごくやさしくしてくれるから、だいじょうぶ。いえのおてつだいもするようにしたよ。ごはんのつくりかたもおそわったよ。これから一人でもだいじょうぶなようにするんだ。


2031年 8月30日 かんざき ゆう


おじいちゃんとおばあちゃんがしんじゃったって。そうしきのときに、おとうさんとおかあさんもしんじゃったんでしょ?ってきいても、なんにも答えてくれない。もう、そんなことくらい、ぼくにだってわかる。あと、おばさんがほかの親せきのひとと、話しているのをきいた。ぼくは「やくびょうがみ」なんだって。ぼく、もう親せきのひとにめいわくかけちゃいけないとおもうんだ。だから、ニュースでやってた「こじいん」ってところに行こうとおもう。


2031年 8月31日 かんざき ゆう


こじいんってところにいったら、やさしそうな人がでてきた。わらったかおがおかあさんににていたから、つい「おかあさん」っていっちゃった。でも、その人はわらいながら、「これからはわたしがあなたのおかあさんですよ」といってくれた。とってもうれしかった。


2031年 9月1日 かんざき ゆう


夏休みがおわって、にがっきがはじまった。でも、なんでだろう。みんなぼくのことをさけてる気がするんだ。それで、おもいきってちかくにいたともだちにきいたんだ。そしたら、「おまえ、こじいんに入ってるんでしょ?」といわれた。おとうさんとおかあさんがいないってことがいけなかったみたい。すごくかなしかった。こじいんに帰ってそのことをいったら、「そんなこときにしなくても大丈夫ですよ。わたしはあなたのおかあさんなんですから」っていわれた。すごくやさしいにおいがした。


2031年 9月16日 かんざき ゆう


先生にほうかごのこって話をしよう、っていわれた。ほうかごのこっていたら、先生がきゅうにおうちのことを話して、って言った。どのおうちのこと?って聞いたら、先生おどろいてた。今すんでるのはどこ?ってきかれたから、こじいん、ってこたえたらおばさんがいえにもどってこいっていってるってきかされた。いやだ、っていったらどうして、ってきかれたから、おばさんがいじわるなんだっていった。そしたら先生がじゃあこじいんにいなさいっていってくれた。うれしかった。


2033年 11月17日 かんざき ゆう


クラスメイトの女の子が、わるそうな人につれていかれそうになってたからたすけた。そしたらそのわるい人たちがぼくのことをけったりたたいたりするんだ。ぼくはわるいことしてないのに。女の子はけがしてないみたいだった。わるい人たちがどっかいったあと、女の子が「しんじゃうかもしれなかったのに」っていってくれた。あと、「ぼくはしんでもだいじょうぶ。うちはこじいんだしおとうさんもおかあさんもいないから」、っていったらなきながら、友だちになってあげるっていわれた。ちょっとだけど、うれしかった。


2035年 4月9日 神嵜 悠


名前を漢字で書けるようになった。他にも、いろんな漢字を覚えた。今年から魔法を勉強することになった。でも、ぼくだけなぜか魔法が出せないんだろう? 出せるときもあるけど、友達の半分くらい。どうして?って先生に聞いたら、魔法は精神が大事で、精神に傷がある子は出すのが難しいっていわれた。むずかしかったから、かんたんに説明してっていったら、心に傷を負った子は出しにくいんだっていってくれた。でもぼくはどうして出せないの? これっぽっちも心は痛くないのに。


2035年 4月23日 神嵜 悠


孤児院のマザーが死んだ。いや、殺された。逃走中の強盗が孤児院に入ってきて、たまたま門の近くにいた僕のことを人質に取ろうとした。でも、マザーが僕を助けようとして、ナイフで刺された。すぐに魔法警察の人がやってきて、犯人は捕まった。どうして、僕はすぐに動けなかったんだろう。そして、どうして僕の大事な人たちはすぐに死んじゃうのだろう。そんなことを考えていると、胸の奥が痛くなってきた。心臓が痛いわけでもない。何かにぶつけたわけでもない。でも、これが心が痛いってことなんだって分かった。なぜだか、涙は出なかった。マザーの代わりの人が孤児院に来るらしい。孤児院は心配なさそうだ。僕は孤児院を出て行くことにした。


2035年 4月24日 神嵜 悠


孤児院を出たことをいったら、学校の先生が僕のことを一時的に保護してくれた。これから僕のことを引き取ってくれる人を探すらしい。でも、その直後に前に助けたあのクラスメイトの女子から、一日だけでも家に来ない?と誘われた。けど、これからは自分で何とかするよ。と返事をしておいた。おばあちゃんたちみたいに、僕が負担になって死んじゃうかもしれない。


2035年 5月1日 神嵜 悠


結局、前に助けたあの女の子の家に居候することになった。生活費はお父さんとお母さんの遺産からなんとかしますし、家事も全部やりますからって言ったら、もう家の子なんだからそんなこと気にしなくてもいいって言われた。女の子の名前は金崎 燐というらしい。お母さんは金崎 美鈴さん。嬉しいけど、魔法中学に上がるときには自立することを伝えた。うちにずっといれば燐も喜ぶ、と言われた。だけどそれ以上に掛ける負担が大きいはずだ。これは自分の中でも決めたこと。家を出たあとはどうしようか。……まずは家を探そう。


2037年 4月1日 神嵜 悠


都市伝説だと思ってた。ただの噂話だと思ってた。そんなものは映画の中だけだと思ってた。だけどそれ以外に、これから生きていく手段はなかった。だから僕はマフィアになる。4月1日24時。神嵜悠はマフィアになる。僕の存在が世界に認められなくても。世界が僕を殺しても。血反吐を吐いてでも僕はこれから生きていく。

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