第一話
異世界転生した女性が、家族から放置された赤ちゃんに憑依した。魔法を駆使しながら成長します。見ておくがいい、逆襲してやるぅと思っていたのだが、きっとほのぼのと成長していくと思います。
R15は念のためです。
ある日、私は赤ちゃんに生まれ変わった。オギャーと産まれた時に、へぇー生まれ変わりってあるんだと思った。そして産まれた場所は、全く知らない世界だった。
生まれて直ぐに、小説に書いてあったなぁとか異世界転生というんだったかなぁとか、そういえば前世の記憶を持っているというのが定番だったなぁとあれこれ考えていると、これまた定番の美丈夫がやってきた。
整った顔のイケメン男性が、「産まれたか、なんだ?この、のっぺりとした顔のシワクチャの赤い子供は」と周りの者に聞いている。
はぁ?何言ってんの、産まれたばかりの赤ちゃんはシワクチャで赤いものなのよ、のっぺり…知らんがな!とツッコミを入れたが、赤子は喋れない、ガックリ 私を産んだ女性は何も話さなかった。こちらも疲れ果てているだろうに美丈夫だった。
メイドらしき服装の女性が綺麗になって服を着せてもらった私を、別の部屋に連れていきベビーベッドに寝かせてくれた。そして、どこかに行ってしまった。
えっ?マジですか?生まれたばかりの赤ん坊を放置しますか?何もできない赤ん坊なんですけど、こーんな広い部屋に置き去りにして、お腹がすいたらどうするんですか?泣いたら来てくれるんですか?エー、困惑です。思いつくままの文句を並べてみたが、赤子は喋れない、ガックリ
サスガに喉が渇くしお腹は空いてくるし、泣いてやるぞ!と泣いてみた。するとどういうことだろう、メイド服の女性がやってきた。年齢は若く見えるということしか分からない、赤毛に緑色の目をした可愛い娘は西洋人の顔をしていた。そういえば、産まれた時に見た人たちも西洋人のような顔をしていた。やっぱり異世界転生なんかな?そんなことを考えていると、メイド服の娘がミルクを飲ませてくれた。飲み終わるとさっさと出ていった。
どんな原理か分からないが、泣けば来てくれる。おむつを替えたり、ミルクを飲ませてくれるがそれだけ。話しかけるとか、抱っこするとか、普通しないか?ここはしない世界なのか?私が大人しいから、これで済んでるんだからなと大人げなく腹を立てるが、産まれたばかりの赤子は寝てばかりで怒りが続くことはなかった。
来る日も来る日も、泣けばおむつを替え、ミルクを飲ませ、時々お風呂に入って着替えをする、そんな毎日が続いた。部屋には私一人。来るのはメイド服を着た娘達。達というのは日替わりで、赤い髪に緑の目だったり、茶色の髪に茶色の目だったり、金色の髪に青い目だったりする娘がくるからだ。
どの娘も話しかけてこないし、抱っこもしない。ただ、死なないようにお世話をしているという感じだった。
3か月過ぎると起きている時間が増えた。異世界転生には魔法が付き物。私は本で読んだことのある内容を試してみることにした。魔力を感じるには、全身の血の巡りを意識する、ホォ、こんな感じかな?すると何かを感じる。と書いてあったが、うん?これか?確かに何かが身体の中をグルグルと流れているような気がする。ほぉ、やれるな、私、マジ、魔法使えるかも!そんなことを考えながら次に進む。イメージが大事なんだよね。ちょっと横向きになってみるか、毎日毎日天井ばかり見せられて、後ろ頭がハゲるだろうがぁ。ということで、大きな手が背中に差し込まれるイメージで手を優しく持ち上げた。ちょっと動いたような気がした。直ぐに疲れて寝てしまった。お腹がすいて目が覚めた。時間が分からないからどのくらい寝ていたか分からない。泣くとメイド服の娘が来る。
そして、何回か右側の背中、左側の背中と大きな手が支えて横向きになるというイメージの魔法を繰り返した。そうすると何日かで、右向き左向きがキープできができるようになった。私。マジ、天才!!
じゃあ、次は水、水を出してみよう。異世界では定番じゃん。横向きで小さい水球をイメージする。上向きだと自分に落ちてきたら嫌だからね。フン!私、マジ、天才!!できた。小さな水の球がフワフワ浮いている。私は少し大きくして、部屋に敷いてある絨毯の上にこぼしたつもり、だって見えないから。
泣くと金髪青色目のメイド服の娘がきた。「キャァー、なんで絨毯が濡れているのよぉ、キャッシーね、おっちょこちょいのキャッシーの仕業ね。」「だれか来て頂戴ィー」アラ、この部屋で喋ったね、喋れたんだね、あんたは誰?キャッシーはおっちょこちょいなんかーいと思っていると、ドアが開いてメイド服の娘が3人来た。
「誰が絨毯を濡らしなの?正直に言って。今なら手伝うわ。」金髪青色目のメイド服の娘が叫ぶ。「待ってデイジー、どうしたのか教えてくれないと分からないわ」茶髪茶色目のメイド服の娘が質問する。「絨毯が濡れているのよ!ローラ何か聞いてる?」金髪青色目のメイド服の娘が喋る。「知らなわよ、誰が濡らしたの?メイドの私たちしかこの部屋に入らないわよね」赤髪緑色目のメイド服の娘が答える。「メイジー、絨毯の色が変わっているわ、かなり濡れてる」茶髪茶色目のメイド服の娘が指摘する。「どうして濡れたのかしら?」黒髪金色目のメイド服の娘がのんびりと答える。「キャサリン、どうしたのかじゃないわよ、どうするのよこんなに濡らして」金髪青色目のメイド服の娘が怒る。
4人がギャーギャーと騒いでいる。あなた方、喋れたんですね。驚きです。私に話しかけたことないですよね、てか、この部屋で口利いたことないですよね。絨毯がそんなに大事なんですか?今、泣いていた私を無視ですか?どんなに心で毒を吐いても、伝わることはない。喋れないから。残念
4人の話から彼女たちがメイドであることと、名前が分かった。
金髪青色目のメイド服の娘→デイジー
茶髪茶色目のメイド服の娘→ローラ
赤髪緑色目のメイド服の娘→メイジー
黒髪金色目のメイド服の娘→キャサリン
4人は話し合った結果、濡れた絨毯は何もしないことにしたらしい。どうせ自分たち以外にこの部屋に出入りする人がいないからという理由らしい。見つからない、怒られない、それなら何もしないでヨシ!としたようだ。職務怠慢、責任感の欠如、仕事を放棄するな、無責任なメイドに鉄槌を!!
私は密かに魔法の練習をする。楽しい!非常に楽しい!! 前世ではお話の中の世界だった魔法が使える。しかも、結構思い道理に使える。絨毯は熱風で乾燥させた。なんと、支えてくれた魔法の手は私を抱きかかえて浮遊させ事ができる。歩けないから部屋の中を魔法の手に抱えられフヨフヨ移動できる。
勿論、天才の私は運動することも疎かにしない。自分の足で逃げないといけないようなことがおこることもあるから。お風呂も時々しか入れてくれないから、浄化魔法ってあったと思って、試しにお湯に浸かるイメージで自分に魔法をかけた。あら不思議、綺麗になってる。魔法を使うと眠くなるから寝る。お腹が凄く空くから泣いてメイドを呼んでミルクを飲む。そして魔法が上達する。好循環だわ。
しかし、ぼちぼち離乳食が食べたい。私も気づけば8か月。普通は生後半年くらいで離乳食開始なんですけどね。どうしたらメイドに伝わるか頭を悩ませる。おっちょこちょいと言われていたキャサリンがミルクを持ってきたときに、ポケットにビスケットを持っていることに気が付いた。いや、魔法で探したんだけどね。こっそりポケットから拝借した。
そして、デイジーの当番の時にデイジーの前でビスケットを食べた。デイジーは、「誰?誰なの?この子にビスケットを与えたのは、私じゃないわ、私じゃない。誰かきてぇー」大慌てで、またほかのメイドを呼ぶ。そして全員集合。キャサリンが、「私のビスケットじゃないかしら?無くなってたのよねぇ」と呑気な声でいう。デイジーが怒る。「やっぱり、あなただったのねぇー」ローラが、「そういえば子供ってご飯を食べる前に離乳食を食べるんじゃなかった?」メイジーが「うちの兄妹も半年くらいから離乳食を食べてたわ。」4人が「じゃ、問題ないわね、離乳食開始したことにしましょう!」
メイドたちよ、早く気づけ、そしてビスケットを食べていたことを問題視しろ、何が、離乳食を開始したことにしようだ、許すまじ!! まぁ、結果、離乳食が無事に始まったのだが。
メイドの彼女たちは私に関心がないから、赤ちゃんの成長に興味がない、勉強しない、なので、離乳食も最初から食べれるだけ食べさせる。そして、誰もおかしいと思わない。今まで、泣けばミルクを飲ませていたのに今は離乳食を持ってくる。いやいや、まだミルクを飲む月齢だからね、私は魔法が使えるから喉が渇けば自分で水が出せるけどね。メイドよ、子育てを勉強しようよ。
そして、離乳食を食べれば出るものも変化する。大人と同じものが排泄される。当たり前だが、メイドは病気と思ったらしく、また相談する。様子をみるか?医者に診せるか? いやいや、兄弟がいるなら分かるだろうに、何をみてきた?
サスガです!お医者様はメイドたちに滾々と説教をした。メイドたちは何かあっては責任問題になるとお医者様に診察していただこうという選択をした。そして、お医者様から勉強不足を滾々と説教された。1歳児健診と考えれば、診察してもらってよかったよ。問題なしのお墨付きをもらった。
こうして、私は無事に1歳の誕生日を迎えたのだった。お医者様が誕生日を教えてくれなければ知らなかったんだよね。ほんと、この家の人たちはどうなっているんですかね?生まれた赤子を見に来るでもなく、衣食住さえ与えとけば問題ないと思ってるんですかね? 今から逆襲が始まると思えぇー。




