086.不可思議現象
地方巡回は半分も進んでいないのに、もう休暇予定日数を超えてしまった。
遅れた理由は殆ど俺の案件だった、申し訳ない。
俺は地方巡回を離脱して通常業務に戻る。 陳情書は闇に葬られるだろう。
「ユキ、陳情書の中で、不可思議現象的なものだけは一度俺に回してくれるか?
金鉱脈とか普通の業者でも出来そうなものははもう要らない。
割に合わないよ」
「はい、・・・ですが税金を払っても利益は出ると思いますが?」
「その資金、なにに使うの? 使い道のない資金を手に入れてもね。 苦労の甲斐がない」
「◯◯救助隊を作るとか・・」
「もうそれあるし」
まだ黒龍玉と搭載している装甲車しか無いけど。
「あるんですか?
ではちょうどいい依頼があります」
あ、・・言わなきゃよかった?
「どんな依頼?」
「離島で震災があり、孤立した村があって、復旧の目処が立っていないらしいの」
「それ、自衛隊とか・・そういうので対応できるんじゃないの?」
「それが、なぜかその村だけ暗雲に包まれ強風・豪雨で近づけないらしいの」
どうやら不可思議現象分野らしい
「行こう、関連部署に連絡しておいてくれ」
うちの部署は災害救助担当ではないが、なぜか他の部署から煙たがられているので、
“あー、すぐ行って来い、しばらく戻らなくていいぞ”
状態である。
警察組織の浄化に協力したからかな?
でも俺としてはやりやすい。
ユキはコクピットには入れない、仲間というわけではないからね。でもコクピット以外は入れる様にした。
「あのー、飛行ルートの申請とかは・・・」
「してない。飛行機じゃないから、それにレーダーにも写らないし」
「危なくないですか?」
「亜空間を通っていくからぶつからないし、移動先で少し動くぐらい大丈夫だろ。
亜空間の飛行ルートは申請不可能だろ」
「そうですね。 今度相談しておきます」
何処に相談するんだろ?
真面目にやったら色々法律にも触れそうだ
やはり秘密にするしか無いな
「問題になりそうだったら秘匿しておいて。
特に軍関係にこの技術が漏れたら大変だからね、世界の安全保障に関わるから」
「◯カンダみたいですね」
「俺達は単なる便利屋チームだし。国でもないし。
そうだ、最終的に “神龍の使徒国” とか “神龍神聖帝国” とかを建国してもいいね」
「それは良いですね、教会に提案しておきます」
そんな大事提案できるの?
さて行ってみるか
『座標セット完了、転移!』
黒龍玉に乗った俺達は、あっという間に離島 “端那霊島” に到着した。
まず現地で聞き取り調査をしよう
人けのない空き地で装甲車を降ろして村に向かった
上陸メンバーは俺とユキとゴーダ、残りは黒龍玉でサポートにまわる。
ゴーダは運転手として装甲車を担当、俺とユキで災害対策本部へと向かう
そこで詳しい話を聞いた
この島には大きな村が2つ北海岸と南海岸にある。北海岸の村が、震災後音信不通になって行き来もできないらしい。既に5日が経過しても状況が変わらず、安否が気になってきて依頼を出したらしい。
自衛隊も派遣されてきたが同じく北海岸に行く方法がないらしく、更に南海岸の村でも被害が出ており行方不明者の捜索・救出などで手一杯で未だに対応できていない。
ちなみに災害対策本部長は神龍の使徒の信者である。彼からの依頼だ。
村に行こうと思っても地震による崖崩れで道は塞がり、島の北半分は暗雲に閉ざされ突風と豪雨のため船やヘリでも近づけないらしい。実に不自然な現象だ。




