085.報われないヒーローにはなりたくない
今更のようにプクゥに聞いてみた
『土の中から特定の元素を抽出できる?』
『特定の元素って?』
『特定の物、かな、ほらこの石の塊あるだろ、
この中には金が細かくなって含まれてるんだけど、・・・
ほらこの金を取り出すんだ』
金鉱石から一粒の金を取り出してみせた
『多分出来るよ、やってみる』
サンプルの金の含まれた石英層を渡すと、プクゥはしゅっと飲み込んでポトンと金の粒を落とした。
『出来たよ』
速い、優秀だね・・いままでの俺の苦労は何だったんだろ・・・認識力を鍛えていた・・んだよ。
『これ海にも少し含まれてたよ』
プクゥがボトンっと一握りの金塊を落とした 1キログラムぐらいある
『楽しくて集めてたやつ、主にあげる』
『ありがとう、プクゥは優秀だね』
『えへへ』
資金難になった時にプクゥを海に放して金を回収してきてもらえば、一気に解決するらしい。
海中の金は誰の物と言えないし何処からも文句は出てこないだろう、暇な時には海で採取してもらおうかな。
楽しいって言ってたから大丈夫だろう。
これなら採掘を引き受けても良さそうだな。
「ユキ、これ現金化して口座に振り込んでおいて」
プクゥからもらった金の塊1キロを渡した。50キロの塊は大きすぎて持てないだろうから止めた
「これどうしたんですか?」
「金鉱脈調査のお礼にもらった、交渉して1日採掘した分をもらった。
ま、砂金採り体験みたいなものかな。
本部には別にまた彼から寄付が振り込まれるだろ」
「そうですか、1日でこんなに・・非常識ですね、勉強になります」
だから学んでどうする?
「あ、これあげる、調査の時に採取した分だ」
100グラムぐらいの塊を手間賃としてあげた
「えっと、時価300万円以上ですか・・・贈与税取られますね」
そうか税金ふんだくられるんだね。
「ちょっとまずいね。待って」
疑似錬金術で勾玉に再構成する。 一つだと重すぎるので5つに分けた。
「これは単なる会員証だよ」
「何の? っいうか何でいつの間にか勾玉になっちゃってるの?」
「アウルの会」
「何の活動するんですか?」
「バードウォッチングとか・・」
「私はしませんが・・」
「名目だよ。“チーム猫山”でもいい。
あと自分の分と、開祖様とうちの女子メンバーに渡そう」
「私の分が減った・・・」
「贈与税が要らない範囲で」
俺が活動するのに税金は無視することにしよう。やってられない。
そもそもこれは神域で行われる事象、現世の話ではない。
黒龍玉の現世での価値なんて無限に等しい。
基本 “無” から神の力で生まれる価値だから、現世の者には価値は “無” とも言える。
悔しければ価値を生み出してみろって話だ。出来るものなら神様から税金を取れって。
で、そういう道理は通らないって言い張るだろうから、全ては闇に隠すに限る。
例えば地球を救ってくれと言われたとしよう、その仕事の価値は?対価は?税金は?
普通に考えれば、割に合わない、止めた、となってしまうだろう。
交渉が可能であれば対価は税引き後の価格で交渉するだけだ。
税率が50%なら、1000兆円の対価が欲しいと思ったら2000兆円請求すれば良い。
地球を救ったのは無限の価値を生んだことになる。が、神の力で救われたのであれば只であるとも言える。
神が対価を要求したらそれが価値である。
その経費はどうなる?
無から生じた道具を使って世界を救ったとしよう、それは経費になるか?
無限の価値を持つ道具を得るのにいくら使ったか? 自分の能力だけだ。
自分の能力には税金はかからない。能力で出来た物や効果に価値が生じる。
経費は材料費だけだ。やってられない。
考えが迷走してしまった。
とにかく面倒であることに変わりはない。
全ては闇の活動で済まさないといけない。
対価は差し障りのないところから勝手にもらうとしよう。
報われないヒーローにはなりたくないものだ。




