076.奪取
戦いは好まない。
「俺が龍玉を奪ってくる」
「え? 猫山さん1人で?」
「戦いは嫌いだからこそっと偽物とすり替えてくる。適合者が居ないならわからないでしょ」
盗られたとわかったら、迷わず総攻撃してくるだろうし」
「そ、そうね、意外ね」
「えっ? 何が?」
「もっと好戦的かと思ってた」
「必要最低限の戦いはするよ」
「それにしても偽物の龍玉なんて持ってたの?」
「幻の龍玉の力」
嘘です。
「なるほど、幻・・だからね・・・その龍玉ほんとに便利ね」
納得してくれたみたいで良かった・・
隠密をかけて忍び込んでいく、龍玉の在処は認識できている。物理的に封印されていなければアイテムボックスに取り込める。ある程度隙間があれば実際に通らなくてもいいみたいだ。
あー、流石に金庫に入っているなぁ・・最悪は金庫ごととかも・・
どうしよう?
こういう時は探偵小説にでてくる手法、犯行予告をしてっと
首領と思われる者の机にちょこんと置いていく
『龍玉は頂いた、怪盗にゃんこ』
これでよし、
金庫の中身を確かめるために金庫を開けた瞬間に龍玉をアイテムボックスに入れ、
代わりにアイテムボックスにある『偽の龍玉』を入れておけばひとまず俺のミッションはクリア。
本物の龍玉を一つ回収できた。
アイテムボックスのフォルダー名は『龍玉』ー『火の龍玉』となっているので間違いない。
盗まれていないと安心しているので、騒ぎは起きず、悠々と外に出られる。
「とりあえず偽物と交換してきたぞ、
他の龍玉はすくなくともここには無かった。
やつらに適合者は居ないから集めても仕方ないんだけどな」
「全部集めるとなにかあるの?」
えーーー知らないの?、てっきり伝えられていると思いこんでたけど、伝えられていなかったのか?
「伝えられてないのか?
普通ファンタジーだとコンプリート特典とかあるだろ?」
「ほとんどの秘伝書は戦争で焼失して、失伝された内容が多いの。
先代も適合者ではなくて、使い方も完全に把握しているわけじゃないの」
なるほど、コンプリート特典狙いは無いという事か。
「過激派には何か残っているのかもしれないけど」
違った、まだコンプリート特典を狙っている可能性があるか・・
でも集めても使えないんじゃ仕方ないよね。
もし、『6つの龍玉を集めし者に力が宿る』なんて書かれたものが残っていたら、適合者でなくても力が得られると勘違いしちゃうかもね。
それに俺の想定では今は8つの龍玉になってしまっている。俺をややこしくしてしまっていた。
そして今、俺のアイテムボックスの中に本物の龍玉が5つとダミーが1つ。
その他に
祠に置いてきた3つのダミーと
俺のダミーと
いま龍の顎過激派の金庫の中のダミー
開祖の持つ水の龍玉
本物であるかを調べられるのは俺と開祖様のみ・・
開祖様とは良い関係を築いておいた方がよさそうだ、ある程度正直に話しておいたほうが良いだろう。
「開祖様、少し内密の話が・・」
「あー、怪しい、2人きりななろうとしてるぅ」
「サキ誤解だ」
「お姉ちゃんに言いつけてやる」
なぜ言いつけられるのかよくわからないんだけど・・
「選ばれし者の内容だ、俺達2人以外は知ってはいけない龍玉に関する重要な内容だ」
「誤魔化されないよ」
面倒だなぁ
「じゃあ声だけカットするから」
結界をカスタマイズして音が漏れない透明の結界を二人の周りに張った
「・・・」
外の音も聞こえない




